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    流菜🍇🐥

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    YesNo枕のTF主ルチのルチ視点です。最後のシーンが書きたくて書きました。

    ##TF主ルチ

    YesNo枕、ルチ視点 風呂から上がると、青年がリビングで待ち構えていた。洗面所に持ち込む一式を抱えて、ソファの隅に腰かけている。
    「上がったよ」
     声をかけると、そわそわした様子で答えた。
    「ありがとう。じゃあ、行ってくるね」
     様子がおかしかった。これは、何かを企んでいるのだろう。気づかない振りをして、後ろ姿を見送る。
     姿が見えなくなると、僕は行動を開始した。何を企んでいるのかは知らないが、あまりにもバレバレな態度だった。
     まずは、リビングを物色する。一周回ってみるが、変わっているところはない。次に、彼の部屋へと向かった。
     隠し事はすぐに見つかった。ベッドの上に置かれた枕の片方が、新しいものになっているのである。その枕は僕が普段眠る側、ベッドの壁側に置かれていた。丁寧に布団までかけて隠されている。
     布団を捲り上げると、枕のデザインが目に入った。ピンク色の布地に、ハートの模様と『Yes』の文字が印刷されている。それ以外は、普通の枕に見えた。
     彼は、いったい何を企んでいるのだろう。この変な枕に、何か意味があるのだろうか。全く見当もつかなかった。
     僕は枕を引き寄せると、両肘を乗せた。退屈しのぎにはなるだろうと、置きっぱなしになっていたデュエル雑誌を掴み取る。
     半分ほど読み終えると、青年が部屋に入ってきた。いつもより風呂の時間が短いし、そわそわしている。言いたいことがあるなら直接言えばいいのに、変なやつだ。
    「なんだ、もう出てきたのかよ。せっかちだな」
     僕は呆れながら声をかけた。白状するまで、知らんぷりをしていよう。そう思って、いつもと変わらない態度を演じた。
    「ルチアーノ、枕が新しくなってるんだけど、気づいた?」
     彼は窺うような声で言った。やはり、挙動不審の原因は枕らしい。この枕に、何の意味があるのだろうか?
    「枕? この変な柄の枕が、どうかしたのかい?」
    見上げると、彼は困ったように視線を泳がした。迷ったように口をもごもごさせてから、言葉を発する。
    「なんでも、ない……」
     はっきりしない答えだった。そんなに言いづらいことなのだろうか。僕にとって不利益になるのなら、触れない方が懸命だ。
    「なんだよ、変なやつ」
     そういうと、彼は完全に黙ってしまった。煮え切らない態度だった。

     夜が更けると、隣の男はうとうとと船を漕ぎ始めた。デュエル漬けの一日を送っていたのだ。体力を消耗しているのだろう。
    「おい、眠いなら電気を消して寝ろよ」
     僕が言うと、彼ははっとした顔で目を開いた。目を擦りながら、僕を見る。
    「今、寝てた?」
    「うとうとしてたぜ。子供みたいだな」
     笑いながら言うと、青年は恥ずかしそうな表情を浮かべる。少しいい気分だった。
     雑誌を片付け、枕を戻そうと手を伸ばすと、彼が声をかけてきた。
    「その枕、裏返してみてよ」
     言われるがままに、僕は枕を裏返す。青色の布地に『No』と印刷されていた。
    「なんだよ、これ」
     理解ができなくて、思わず尋ねてしまう。彼は、困ったように笑いながら答えた。
    「これはYesNo枕って言うんだよ。使い方は、…………自分で調べてもらえるとうれしいな」
     この期に及んでまで、はっきりとは言わなかった。分からないままなのはもやもやするから、調べることにする。データベースに接続して、YesNo枕について検索した。
     後悔した。
     この男は、何てものを用意していたのだ。頬が赤くなり、怒りの感情が込み上げる。
     こんなに直接的なものだとは思わなかった。こんなものを用意した彼が許せなかったし、何も知らずに肘置きにしていた自分を思い出して恥ずかしくなる。
    「ルチアーノ、どうしたの?」
     不思議そうな顔をして、彼は僕の顔を覗き込む。赤くなった頬が見られそうで、視線を反らした。
    「お前、こんなもので僕の反応を見てたのかよ!」
     枕を掴み取ると、思いっきり青年の身体を叩く。ぼすんぼすんと鈍い音がした。
    「ごめんっ……。知ってると思ったから……」
    「そんなこと、知るわけないだろ!」
     謝り続ける彼を、何度も殴り付ける。気が済むまで殴り付けると、枕を投げ捨てた。
    「もういいよ。寝るぞ」
     ベッドから飛び降りて、電気を消す。薄暗くなった部屋で、布団に潜り込んだ。
     彼も、寄り添うように横になる。触れ合った肌と肌が温かい。顔を近づけると、彼は囁くようにこう言った。
    「僕が誘ったときに、それを使ってくれていいからね」
     とんでもないことを言うものだ。怒りと羞恥で、頭が沸騰しそうになる。
    「使うか馬鹿!」
     突き放すように怒鳴ると、視線が合わないように背を向けた。疲労を感じながら、ゆっくりと目を閉じる。
     まさか、あの男がそんなことを考えていたなんて。そこまで、僕のことを恋人扱いしたがっていたなんて、少しも知らなかった。
     胸の奥で、感情がぐるぐると渦を巻く。彼の恋人扱いを、少しだけ嬉しいと思っている自分がいることに、さらに困惑した。
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