Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

    文章や絵を投げます

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💕 🍇 🐥 🍣
    POIPOI 475

    流菜🍇🐥

    ☆quiet follow

    TF主ルチ。熱くなってきたからルチとアイスを半分こしたいねっていう願望です。

    ##TF主ルチ
    ##季節もの

    半分こ ゴールデンウィークが終わってしばらくすると、季節は一気に初夏へと変化した。太陽はじりじりと照りつけ、地面を暖めている。気温も上がり、町を行く人々も、手足を出した薄着へと変化していた。
     町の中は暖かかった。照りつける太陽の光がビルに反射し、肌や空気を熱していく。少し動いただけでも、背中に汗が滲んだ。心なしか、体温も上がっている気がする。自動販売機でスポーツドリンクを買うと、一気に喉に流し込んだ。
     こんなに暑いのに、ルチアーノは涼しげな顔をしていた。長袖長ズボンで平然と町の中を歩き、いつものようにデュエルの相手を探している。相手を捉えると、太陽の照りつける路上でデュエルを仕掛け始めた。
     太陽の光を浴びながら、僕たちはデュエルディスクを構える。デュエルは、気力と体力の戦いだ。ルチアーノのデュエルは実際のダメージを伴うから、消耗する体力もそれだけ増えることになる。暖かい季節の路上デュエルは、まさに修行のようなものだった。
     僕たちは汗を垂らしながらデュエルをした。着ている上着が暑くなって、路上へと投げ捨てる。ターンが回っている間に、スポーツドリンクを掻き込んで喉を潤した。巻き込まれた相手が申し訳なくて、飲み物を差し入れしたくらいだ。デュエルが始まったときには結露するほどに冷えていたドリンクも、デュエルディスクをしまう頃にはぬるくなっていた。
     ルチアーノは、涼しげな態度で僕の隣へと歩み寄った。さすがはアンドロイドだ。この程度の暑さなど苦にもならないのだろう。感心しながら指先に触れて、思わず手を引っ込めた。
    「どうしたんだよ」
     ルチアーノが怪訝そうに僕を見上げる。僕は、呆然と見返すことしかできなかった。
     彼の指先は、燃えるように熱かったのだ。熱を出した時の子供のような、痺れるような熱さだった。
    「大丈夫なの……? すごい熱いけど……」
     僕が言うと、ルチアーノは納得したような顔をした。何事も無いように答える。
    「今日は気温が高いから、内部に熱が籠ってるのさ。僕は優秀なシステムを搭載されてるから、すぐに冷めるよ」
    「そうなんだ……」
     あまりにも人間にそっくりだから、時々、ルチアーノがアンドロイドだということを忘れてしまいそうになる。こんなに精巧でも、彼は血も肉もない機械なのだ。
    「じゃあ、冷めるまで手を繋ぐのはやめておくね。やけどしそうだから」
    「そんなに熱くないだろ」
     そう言いながらも、彼は手を引っ込めた。僕の手も、繋ぐには熱いくらいに熱を持っているのだろう。
     次の相手を探す前に、コンビニに入ることにした。体力も気力も使い果たしてしまったから、少し休憩したかったのだ。
     店内に入り、パンと飲み物を物色する。空調の効いた室内は涼しくて、快適だ。菓子パンを選び、追加のスポーツドリンクを手に取ると、僕はアイスのケースへと向かった。
     夏と言えば、氷系のアイスだ。シャーベットもかき氷も、果汁を凍らせたアイスも、この時期が一番美味しい。ルチアーノにも、この美味しさを味わってもらいたかった。
     目的のアイスを手に取ると、精算を済ませて席へと向かう。ルチアーノは、座席から退屈そうに外を見ていた。隣に腰を下ろすと、アイスを取り出して袋を開ける。
     僕の選んだアイスは、チューブに入ったシャーベットだった。二つのチューブがひとつの袋に入っている、友達と分けるためのアイスである。ルチアーノに食べてもらいたくて、ちゃんとぶどう味を選んだのだ。チューブを半分に分けると、ルチアーノに手渡した。
    「これ、半分あげる」
     ルチアーノは、驚いたように僕を見た。手元と僕の顔を交互に見ると、静かに突き返した。
    「こんなの要らないよ」
    「僕が食べてほしいんだよ。受け取って」
     蓋を開けて差し出すと、今度は受け取ってくれた。チューブの先を咥えると、チューチューと吸い始める。僕も自分の分のアイスを食べた。
    「夏に食べるアイスって、なんだか美味しく感じない? 少し涼しくなるでしょ?」
     アイスを平らげると、僕は隣に声をかけた。隣に座る男の子は、子供のようにチューブの先を噛んでいる。リスのようでかわいらしかった。
    「別に、変わんないよ」
     照れているのか、頬を染めながらルチアーノは言う。アイスを食べたのに、身体が熱くなってしまったようだった。そんなところもかわいいと思う。 
    「じゃあ、これを食べたら次に行こうか」
     言いながら、僕は菓子パンの袋を開ける。大きく口を開くと、甘い生地を口の中に詰め込んだ。
    「次も外だからな。バテないように、ちゃんと飲み物を買っておけよ」
     隣から声が聞こえる。視線を向けると、ルチアーノはいつもの表情に戻っていた。自信満々な笑みで僕を見る。
    「ちゃんと準備してあるよ」
     食べ終わる頃には、ルチアーノの身体はいつもの温度に戻っていた。手を伸ばすと、指先に指を絡める。
    「次は、どこに行くの?」
    「シティ郊外だ。もう、相手は待ってると思うぜ」
     しっかりと手を繋いで、僕たちは歩き出す。外に出ると、太陽の日差しと爽やかな風が出迎えてくれた。まだ、今年の夏は始まったばかりだ。今年は何をしようかと、軽く思考を巡らせた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🍧🍧😋😋💞💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works