心配 踏み出した足の爪先が、歩道と車道を隔てる段差に触れた。身体が大きく傾いて、自力ではバランスが取れなくなる。まずいと思った時にはもう、上半身が地面に近づいていた。両手を前に出すのも間に合わずに、両肘から地面に衝突する。
燃えるような熱が、僕の両肘に伝わってきた。繊維とアスファルトの擦れるゾリゾリとした感触が、布地越しに身体へと響く。同じ感触は膝にも伝わり、両膝を熱で焼き付けてくる。それが痛みだと認識できるまでには、一瞬の間があった。
地面に両手をついたまま、僕はしばらく呆然とする。ようやく認識できるようになった痛みが、じわじわと身体を苛んできた。身体の様子を確かめるように、ゆっくりと地面から立ち上がる。ふと顔を上げて、自分が周囲の視線に晒されていることに気がついた。
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