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    流菜🍇🐥

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    TF主くんがルチの水着を選ぶ話。ルチの裸を他の人に見られたくないTF主くんの話でもあります。

    ##TF主ルチ

    水着 雨の降る季節は、嫌気が差すくらいに長い。この時期になると、毎日のように雨が降って、大地をじっとりと濡らしていく。地面の湿気を含んだ空気は、太陽の熱で熱せられ、肌にまとわりつくような暑さとなる。人々は呻き声を上げながら、その熱気と戦うのだ。晴れていても、いつ雨が降り始めるか分からないから、あまり外出もできなかった。
     この季節になると、部屋から出ることが億劫になってしまう。雨や湿気を避けようと、僕はエアコンを入れたリビングでダラダラと過ごすようになってしまった。ソファに寝転がり、冷たい風を全身に浴びながら、ぼんやりとテレビを眺める。ルチアーノも退屈そうにしていたが、湿気が嫌なのは同じなのか、あまり文句を言わなかった。
     テレビでは、ファミリー層向けのバラエティ番組が放送されていた。『夏休みに行きたいお出かけスポットBEST10』というテロップを見て、今がそんな季節であることを思い出す。学校に行かなくなって久しいから、四季のイベントを忘れてしまっていたのだ。
     テレビの中では、仲良しで有名な芸能人親子が、話題のレジャースポットをリポートしている。地方局の番組のようで、紹介されるのは全てがシティ近辺の施設だった。
     僕は手元の雑誌を閉じると、テレビへと視線を向けた。シティ近辺なら、僕たちにも行くことができる。ルチアーノはレジャースポットで遊んだ経験など無いだろうから、良いところがあったら行ってみようと思ったのだ。
     テレビは、次々にスポットを紹介していく。次の話題は、シティ近辺に位置するアミューズメントプールのようだ。改装のために閉園していたその施設が、つい最近リニューアルオープンしたらしい。
     テレビの中では、親子がプールを満喫していた。子供が楽しそうにプールサイドを駆け抜け、親がその後を追いかける。園内にはいくつものプールがあって、定番の流れるプールやウォータースライダーもあれば、アスレチックとプールが一体化したような施設や、海水を再現したプールもあるらしい。フードコートも充実していて、遊びながらかき氷やフライドポテトも食べられるらしいのだ。
     テレビを眺めながら、僕は思った。ルチアーノは、このような施設を訪れたことがあるのだろうか? 神の代行者として任務に追われる生活を送っていた彼のことだ。そんな暇などなかっただろう。
     ルチアーノを、プールに連れていってあげたい。アミューズメントプールは、子供たちの夢が詰まった施設だ。子供の頃、夏休みの楽しみと言ったら、友達と一緒に遊びに行ったアミューズメントプールだった。浮き輪に乗って流れるプールを漂ったり、ウォータースライダーを何回も何回も滑ったり、プールサイドでお菓子を食べたりしたのだ。ルチアーノは嫌がるだろうけど、そんな子供らしい楽しみを、彼に知ってほしかったのだ。
     僕はルチアーノに視線を向けた。彼はテーブルに向かって何かの端末を操作している。モニターに映っているのは、デュエリストのデータであるようだった。
    「ねえ、ルチアーノ」
     声をかけると、気の無い返事が返ってくる。
    「なんだよ」
    「今度、一緒にプールに行かない?」
     僕の言葉を聞いて、彼は視線を僕へと向けた。テレビに映った映像を見て、呆れたように顔をしかめる。
    「急に何を言い出すんだよ。テレビに影響されたのか?」
    「そうだよ。昔のことを思い出して、久しぶりにプールに行きたくなったんだ」
     僕は答えた。本当の理由は彼をプールに連れていきたかったからなのだけど、そんなことは口が裂けても言えなかった。
    「君って、ミーハーなやつだよな。プールの特集を見てプールに行きたいって言い出すなんて、子供みたいだぜ」
    「僕は子供なんだよ。付き合ってくれる?」
     素直に認めると、彼は嬉しそうに笑った。にやにや笑いを浮かべると、からかうような声色で言う。
    「仕方ないな。お子様な部下の機嫌を取るのも、上司の役目だからね」
     これが罠だとも知らずに、彼は誘いに乗ってくれた。本当にお子様なのはどっちなのだろうかと、心の中でこっそり考えた。

     翌日の午後、僕たちはいつものショッピングモールに来ていた。僕がルチアーノの服を買いに来る、繁華街外れの大型モールである。ここでなら、彼に着てもらう水着が入手できると思ったのだ。
     ルチアーノは、水着というものを持ってない。これまで一度もプールに行ったことがないのだから当然である。彼をプールに連れていくには、水着を買うところから始める必要があった。
     ルチアーノは、嫌々といった様子でついてきた。彼は、ショッピングモールというものがあまり好きではないらしい。賑やかな通路を歩きながら、不機嫌そうに黙りこくっていた。
    「なんで、僕が水着を選ばないといけないんだよ。君が泳ぐんだから、君だけが着ればいいだろ」
     水着を買いに行くと言うと、ルチアーノは開口一番にそう言った。彼には、自由に外見を変更する能力がある。わざわざ買いに行かなくてもいいことは確かだった。
    「駄目だよ。プールっていうのは、水着を選ぶところを含めて醍醐味なんだから。ルチアーノは、僕の遊びに付き合ってくれるんでしょ?」
     そう言うと、彼は悔しそうに顔を歪めた。自分の言動を後悔しているようだ。なんとも可愛らしい姿だった。
     そんなこんなで、僕たちはショッピングモールに来たのだ。夏休みが近いからか、店内には至るところに子供向けイベントの看板がある。おもちゃコーナーや準備中のイベントスペースを通り抜ながら、子供服の催事コーナーにたどり着いた。
     催事コーナーも、夏祭り一色だった。一番目立つところにキャンプ用の道具が展示され、アウトドアルックの服が並んでいる。隣には浮き輪や水着のようなプール用品が並べられ、少し離れたところに夏服のコーナーができている。
    「こっちだよ」
     ルチアーノの手を引いて、水着コーナーへと移動する。色とりどりな女の子の水着の裏側に、男の子の水着がかけられている。そこに並べられた服を見て、僕は困ってしまった。
     そこに並んでいたのは、色とりどりの布地で作られた海水パンツだったのだ。男の子の水着なのだから当然なのだが、僕は言葉を失ってしまった。
    「なんだよ」
     僕の様子を見て、ルチアーノが怪訝そうな声を出した。僕が突然黙り込んだから、不安になったのだろう。
    「いや、何でもないよ」
     そう言うと、僕は水着を手に取った。鮮やかな赤色をしているが、それはスクール水着そのものだ。足元も腿までしかないし、露出が多すぎると思った。
     僕は、ハンガーラックに手を伸ばした。ハンガーを次々に確認し、並んでいる水着を見る。色やデザインは全然違うが、全部パンツスタイルの水着だった。
     僕は、裏側のコーナーに向かった。こっちには、女の子の水着が並んでいる。ビキニのような過激なものもあれば、ワンピースのようなものや、上衣とパンツのセットアップのものもある。男の子の水着に比べると、かなりバリエーションがあった。
     僕は、そのうちのひとつを手に取った。ビキニのような水着と、上から着るワンピースタイプの水着がひとつになったセットのものである。ワンピースはセーラー風のデザインで、ルチアーノが着ても違和感はなさそうだった。
    「あのさ、こういうのとかどう?」
     僕が言うと、ルチアーノはあからさまに嫌な顔をした。僕を睨み付けると、呆れ混じりの怒声を吐く。
    「やっぱり、言うと思ったよ! 君は、僕に女の格好をさせたい変態だもんな!」
     その反応を見て、僕は彼の不機嫌の理由を察した。彼は、僕に女の子の服を着せられると思っていたのだ。結果的にその通りになってしまったが、理由は誤解でしかなかった。
    「違うよ! 僕は、ルチアーノに女装をさせたくてこの服を選んだんじゃないんだよ」
    「じゃあ、何で女の水着なんだよ。下心があるんじゃないんなら、理由を言ってみろよ」
     僕は、言葉に詰まってしまった。理由はあるし、それは、下心なんかではない。でも、それを言ったら、ルチアーノは嫌がるかもしれないのだ。
    「それは……」
    「やっぱり、言えないんじゃないかよ。下心しかないなら、水着は無しだからな」
    「分かったよ。言うよ」
     僕は降参した。これは、理由を言うしかない。ルチアーノを怒らせるよりも、プールに行けなくなる方が、僕にとってはデメリットが大きいのだ。
    「ほら、ルチアーノって、中性的な見た目をしてるでしょ。ルチアーノが海水パンツを履いてたら、周りの人に見られるんじゃないかと思ったんだよ」
     僕の言葉を聞くと、ルチアーノは目を吊り上げた。僕をじろりと睨み付けて、ドスの効いた声で言う。
    「誰が女みたいだって?」
     僕は、目の前の男の子を見下ろす。少年らしい格好をしているし、怖い表情を浮かべているが、長い髪を垂らしたその姿は、まるで女の子のようだった。こんなに可憐な子が海水パンツを履いていたら、誰もが視線を向けるだろう。僕が彼に好意を持っているから、余計にそう思えるのかもしれない。
    「ルチアーノは綺麗なんだから、もっと自覚を持った方がいいよ。あんまり無防備な格好をしてたら、怖い目に遭うかもしれないよ」
    「その時は、そいつをぶちのめせばいいだろ」
     平然と彼は言う。相変わらず、好戦的な性格だった。
    「そうなんだけど、僕が嫌なんだよ。ルチアーノが胸を出した服を着て、周りの視線を集めるなんて」
     そう言うと、ルチアーノはにやりと笑った。さっきとは打って変わって、楽しそうな笑い声を上げながら言う。
    「つまり、君は僕が他の男に見られるのが嫌なんだろ?」
     鋭い一言だった。すべて、彼の言う通りなのだ。僕は、ルチアーノの裸体を他の人に見られるのが嫌なのである。僕が毎日のように愛でている真っ白な肌や、可愛らしい胸元の突起を、他の男に見せたくはないのだ。
    「図星なんだね。君は、僕の身体をいやらしい目で見てるからな。他の男に視姦されるなんて、耐えられないんだろ?」
     にやにやと笑いながら、ルチアーノは僕を追い詰める。
    「あんまり言わないでよ。恥ずかしいから」
    「やっぱり、君は変態じゃないか。子供の裸に欲情するなんて、一度セキュリティに捕まった方がいいんじゃないかい?」
     ルチアーノに責められ、僕は何も答えられなくなる。これ以上この話を続けられたら、水着どころではなくなってしまいそうだ。話を切り上げるしかなかった。
    「とにかく、僕は嫌なんだよ。ルチアーノが裸を見せるのは」
     そう言うと、彼はにやにやと笑いながら僕を見た。からかうような笑い声に、心臓が高鳴ってしまう。
    「分かったよ。そこまで言うなら、上に何かを着てやる。僕だって、知らない奴に視姦されるのは嫌だからな」
     ルチアーノは裏側に回ると、ルチアーノは水着のコーナーを一瞥した。水着を見ると、今度は近くにあるプール用品コーナーへと手を伸ばす。その中の一着を手に取ると、僕に突きつけた。
    「こういうのならいいだろ。水陸両用のパーカーだ。これなら、プールサイドで着ててもおかしくない」
    「そうだけど……。それで泳げるの?」
    「泳ぐときは脱ぐに決まってるだろ。それくらい我慢しな」
     そう言われたら、嫌だなんて言えない。せっかくプールに行くのに、泳ぐことを楽しむなとは言えなかった。
    「分かったよ」
     海水パンツとパーカーを手に取ると、水泳用品コーナーを見る。ルチアーノはプールの道具を何一つ持っていないのだ。巻きタオルやプールバッグも買った方がいいだろう。全部を買い揃えると、そこそこの価格になってしまった。
    「じゃあ、帰ろうか」
     ルチアーノの手を引いて、僕はモールの出口へと向かう。自動ドアを潜ると、外は雨が降っていた。
    「夕立だな。天気予報でやってたぜ」
    「傘、家に置いて来ちゃったな」
     僕は呟く。雨は結構な勢いで降っていて、強行突破できるとは思えなかった。しばらくは、ここで雨宿りをする必要があるだろう。
    「プールに行くのは、梅雨を抜けてからだな」
     隣でルチアーノが呟く。ごもっともな意見だと、僕は思うのだった。
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