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    流菜🍇🐥

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    ルチ不在だけどTF主ルチ。TF主くんがルチに着てもらう浴衣を選ぶだけの話です。

    ##TF主ルチ
    ##季節もの

    浴衣 ルチアーノに、浴衣を着てもらいたい。そう思ったのは、花火大会の夜からだった。あの時出会った龍亞と龍可とアキの姿を見て、僕はそう思ったのだ。あの夜、町で出会った三人は、いつもよりも魅力的に見えた。三人だけではない。あの日の町を歩く人々は、誰もが息を飲むほどに綺麗だったのだ。それがお祭りのせいなのか、浴衣のせいなのかは分からない。それでも、僕はルチアーノの浴衣姿を見たいと思ってしまったのだ。
     翌日、僕はショッピングモールに向かった。少し悩んだが、ルチアーノは連れていかなかった。彼は、花火大会の日も乗り気ではなかったのだ。浴衣売り場を見せたら、断られてしまうかもしれないと思った。
     いや、本心を言うと、それは本当の理由ではない。僕は、ルチアーノにサプライズプレゼントを贈りたかったのだ。というのも、今度のお盆休みに、僕はルチアーノを実家に招待しようと思っているのだ。その実家の夏祭りに、浴衣姿のルチアーノを連れていきたいのだ。
     ショッピングモールに入ると、子供服売り場へと向かった。夏休み真っ只中だから、子供服売り場にはコーナーができている。水着やアウトドア用品の間に、目的のものは並んでいた。
     僕は、真っ直ぐに浴衣コーナーへ向かった。商品棚には、色とりどりの布で作られた小さな浴衣が、袋に入った状態でかけられいる。反対側は、男の子の浴衣が並んでいるようだ。
     棚の隣には、子供のマネキンが二体並べられていた。片方は女の子で、可愛らしいピンクの浴衣を纏っている。もう片方は男の子で、レトロな縞模様の浴衣を着せられていた。
     僕は、棚の浴衣に手を伸ばした。最初に、女の子の浴衣を物色する。女の子の浴衣は、色とりどりで綺麗なのだ。小さい頃は、従姉妹たちの着ているカラフルな浴衣に、密かな憧れを抱いていた。
     手を伸ばすと、かけられている浴衣を手に取る。デザインや作りは、僕が子供だった頃からあまり変わっていないようだ。昔ながらのスタンダードな形の浴衣もあれば、上下が別になっているセパレート型の浴衣もある。中には、帯から下がフリルのミニスカートになっているものまであった。柄も千差万別で、レトロな花柄の印刷されたものもあれば、バラや宝石のような派手な模様が印刷されたものもある。
     それに対して、男の子の浴衣は控えめだった。スタンダードなものとセパレート型のものがあるのは同じだが、デザインのパターンが少ないのだ。ほとんどが黒か灰色か青の単色で、デザインが印刷されているとしても、控えめな柄ばかりだ。普通の男の子ならそれでもいいのだろうけど、恋人に贈るには地味すぎるような気がした。
     僕は、ルチアーノの姿を想像した。その美しい身体に、手に取った浴衣を纏わせてみる。想像の中のルチアーノは、どの浴衣も綺麗に着こなしてくれた。地味な単色の浴衣は、ルチアーノの綺麗な顔を引き立ててくれる。外見が幼いから、子供らしい柄物の浴衣も難なく着こなせた。
     でも、僕はそれでは嫌だったのだ。せっかく浴衣を着てもらうのだから、かわいいものにしたい。彼は、どんな服でも着こなせるのだ。活かさないともったいないと思った。
     僕は、女の子のコーナーへと向かった。目についた浴衣を手に取り、想像上のルチアーノの身体に纏わせる。白地に花柄の浴衣も、黒地に赤い花の散らされた浴衣も、彼の美貌にはよく合った。流れでミニスカートの浴衣を纏った姿を想像して、少しだけ頬が熱くなる。男の子にミニスカの浴衣は、ちょっと背徳的すぎるだろう。
     結局、僕が選んだのは青系の浴衣だった。水色に近い布地に、小さめの花模様がランダムにプリントされている。普段着が青色をしているから、それに近い色味のものを選んだのだ。女の子向けだけど、遠目に見ると男の子の浴衣にも見えるデザインだった。
     近くには、髪飾りも並べられていた。浴衣と似た色の花を選ぶと、浴衣と一緒に買い物カゴに入れる。下駄や肌着については、実家に聞いてから買った方がいいだろう。
     レジを通ると、買い物袋を提げてショッピングモールを後にする。もうしばらくしたら、ルチアーノが帰ってくるだろう。バレているとは思うが、秘密にしておきたかった。
     これから、夏本番がやって来る。僕は、ルチアーノを実家へと誘うのだ。生まれ育った町を紹介して、浴衣で夏祭りに出かける。子供の頃の僕が体験した夏休みを、彼にも体験してもらうのだ。
     ルチアーノの浴衣姿は、どのようなものだろう。彼のことだから、きっと想像以上に美しいはずだ。その事を思うと、僕は胸が高鳴るのだった。
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