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    流菜🍇🐥

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    TF主ルチ。ルチってフクロウに似てない?と言い出すTF主くんの話です。

    ##TF主ルチ

    フクロウ 家に帰ると、一番にテレビを付けた。画面が点灯し、夕方のニュースが映し出される。この時間帯のニュースは、芸能バラエティや政治の話もあれば、地域のニュースや直近のトレンド特集まで放送してくれる。デュエル三昧で世間の情報に疎くなりがちな僕には、とてもありがたい番組だった。
     買ってきたばかりの弁当を袋から取り出すと、机の上に置いて蓋を開ける。割り箸を手に取り、小さく手を合わせると、テレビに視線を向けながら食事を始めた。
     画面の中を、いくつかのニュースが流れていく。シティ郊外で起きた火事の話と、旧ダイモンエリアで目撃された不審者の話、デュエル大会の様子などが、簡潔に紹介されていく。トピックスのおさらいが終わると、コーナーはバラエティ色の強いトレンド特集に移った。
     今日のテーマは、フクロウカフェだった。シティ繁華街にオープンしたというフクロウカフェを、番組のスタッフが取材している。店内には何種類かのフクロウがいて、好きな個体と触れ合えるらしい。取材を受けた女性グループは、自分では飼えないから会いに来ましたと楽しそうに話していた。
     インタビューが終わると、スタッフの持つカメラが店内の様子を映し出した。木の枝に乗ったフクロウが、窮屈そうに身体を縮めている。小屋の中に入っているフクロウや、人の腕の上でくつろいでいる個体もいた。収録されたアナウンサーの声が、それぞれの個体の名前と、性格の特徴を紹介していく。個体によって差はあるが、基本的には人になつかないらしい。
     僕は、目の前に座るルチアーノを眺めた。彼は退屈そうな顔をしながら、画面に映し出されるフクロウを眺めている。その鋭い横顔を眺めていて、不意に思うことがあった。
    「ルチアーノって、フクロウに似てるよね」
    「はぁ? なんでだよ」
     彼は怪訝そうな顔で僕を見る。眉を寄せた姿は、どことなくミミズクと呼ばれる種族に似てる気がした。
    「テレビで言ってたけど、フクロウは集団行動をしないから人になつかないんでしょ。ルチアーノに似てるんじゃないかと思ってさ」
     僕の言葉を聞くと、彼は呆れたようにため息を着いた。また始まったと言わんばかりの態度だった。
    「猛禽類と同じにするなよ。僕は神の代行者なんだぞ。人間なんかとは馴れ合わなくて当然だ」
    「そういうところも、似てると思うんだよ。フクロウは賢くて、知恵の象徴とも言われてる生き物だし、神話にだって出てきてる。神の代行者にぴったりじゃない?」
     そう。フクロウは知性の象徴とされていて、知恵の神と一緒に描かれるような生き物なのだ。『森の賢者』という二つ名も、人類を超越したルチアーノによく似合う。彼を例えるのにぴったりだと思ったのだ。
    「そんなの、ただのこじつけだろ。君は動物を見る度に、僕に似てるって言うじゃないか。もっとまともな理由はないのかよ」
     呆れを隠さない声でルチアーノは言う。彼の言うことももっともだ。僕は動物を見るたびに彼に例えていて、過去には犬と猫を引き合いに出しているのだから。
    「今回はこじつけじゃないよ。ルチアーノは賢いし、神の眷族なんでしょ? ぴったりだと思わない?」
    「そんなこと、いくらだって言えるだろ。もっと、他にないのかよ。誰が聞いても納得するような理由がさ」
     ルチアーノは距離を詰める。僕を見詰める真緑の目は、鋭く尖っていた。やっぱり、この目付きはフクロウに似ている。しかし、そんなことを言ったら、彼は機嫌を損ねるだろう。
     悩んだ末に、僕は素直に話すことにした。小さく息を吸うと、恐る恐る言葉を口にする。
    「あとは、ほら、雰囲気とか…………?」
    「誰の顔面ががミミズクだって?」
     凄みを帯びた声で、ルチアーノが即答した。眉を極限まで上げ、硬めを吊り上げた姿は、画面に映るミミズクにそっくりだ。画面に映るフクロウとルチアーノの顔を見比べていると、テレビ画面はスタジオに戻っていった。
    「自覚、あったんだね……」
     僕は呟く。誘導されている時から思っていたが、やっぱりそうだった。彼は、自分の表情がミミズクに似ている自覚があったらしい。過去に、誰かに言われたことがあったのだろうか。
    「言っておくけど、僕は自分が猛禽類に似てるなんて思ってないよ。君の考えることは単純だから、そうなんじゃないかと思っただけさ。やっぱり当たりだったな」
     楽しそうに笑いながら、ルチアーノは僕に視線を向ける。何かを企んでいるときの、意地悪な笑顔だった。
    「だって、本当に似てるでしょ。目付きなんて完全に一緒だよ」
    「全然似てないだろ。全く、君は何でも僕に例えるんだから。そんなに僕のことが好きなのかい?」
    「そりゃあ、好きだよ。恋人なんだから……」
     乗せられるままに言葉を吐いてから、僕は羞恥に赤面する。今、僕は何を言ったのだろう。すごく直接的な告白をしてしまった気がする。
    「何赤くなってるんだよ。変なやつ」
     目の前から、ルチアーノの呆れたような声が飛んできた。彼の飄々とした態度が、さらに僕の羞恥心を煽る。間抜け面を晒したくなくて、僕は両手で顔を覆った。
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