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    流菜🍇🐥

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    TF主ルチ。二人がクイズ番組を見ながらわいわいしてるだけのほのぼのです。

    ##TF主ルチ

    クイズ番組 お風呂から上がると、僕は真っ直ぐに自分の部屋に向かった。タオルで濡れた髪を拭いながら、ゆっくりとした足取りで奥の部屋へと歩いていく。いつもなら、ルチアーノがベッドの上で僕を待っているのだが、今日は少し様子が違った。
     僕の部屋には、一切の灯りが点いていなかった。眠っているのかとも思ったが、ベッドの上にも人の姿は無い。どうやら、この部屋にはいないみたいだった。
     僕はリビングへと向かった。僕の部屋にいない時、彼は必ずこの部屋にいるのだ。テレビを見ているかゲームをしているかの二択に分かれるが、かなりの確率でソファの上に座っている。僕の姿に気がつくと、気の無い様子で視線を向けるのだ。
     リビングからは、賑やかな音声が聞こえていた。足を踏み入れると、テレビ画面に映し出されたバラエティ番組が視界に入ってくる。ルチアーノはソファの上に座って、興味深そうに画面を眺めていた。
    「ここにいたんだね。何を見てるの?」
     尋ねると、彼はちらりと僕に視線を向けた。すぐに画面に視線を戻すと、気の無い調子で言う。
    「ああ、君か。ずいぶんと早かったな」
     返答はそれだけだった。見れば分かるだろといった様子で、番組についての説明は一切無い。仕方なく、僕はテレビ画面に映る映像を眺めた。
     そこに写っていたのは、あるなしクイズの画面だった。片方には『ある』と書かれた枠があり、もう片方には『ない』と書かれた枠が置かれている。中には単語が三つずつ並べられ、余白の下にお題となる単語が書かれていた。
    「これは簡単だな。答えは、『ある』だ」
     画面が映し出されて間もないうちに、ルチアーノは解答を上げる。どうやら、クイズ番組を見ながら謎解きを楽しんでいるらしい。彼らしい行動だった。
     僕は画面を凝視した。羅列されている文字列を見つめながら、何が違うのかを考えてみる。番組のタレントたちも、同じように頭を悩ませているようだった。
    「どうして、『ある』なの?」
     尋ねると、ルチアーノは意地悪な笑みを浮かべた。にやにやと笑いながら僕を見上げると、からかうような声色で言う。
    「それは、自分で考えなよ。分からなくても、待ってれば答えが出るだろ」
     教えるつもりは無さそうだ。仕方なく、画面とにらめっこをしながら頭を巡らせる。しばらくすると、画面の端にヒントが表示された。
    『単語の中に隠れているものは……?』
     ヒントをふまえて、もう一度画面に視線を向ける。上から下まで文字を見て、ようやく答えにたどり着いた。
    「分かった! 動物の名前だ!」
     ソファの上で、ルチアーノが驚いたように僕を見る。唇を尖らせると、怒ったように口を開いた。
    「急に大声を出すなよ。びっくりするだろ」
    「ごめん。分かったのが嬉しかったから……」
     慌てて口を塞ぐと、ルチアーノは再びテレビに視線を戻した。背もたれに体重を預けると、腕を組んで言う。
    「これくらいで喜ぶなよ。僕はヒント無しで分かったんだぜ」
    「これだけで分かったなんて、ルチアーノはすごいね」
     答えながらも、僕は彼の隣に腰を下ろした。柔らかいソファが、僕の体重でずしりと沈む。バランスが崩れて、ルチアーノが体勢を建て直した。
     そんなことをしているうちに、クイズは次の問題に移っていた。『ある』『ない』に分けられた枠の中に、さっきとは別の単語が並べられている。一番下には、今回のお題となる単語が書かれていた。
    「今度は『ない』だ。君にも分かるかい?」
    「うーん………」
     僕は、じっと画面を見つめる。視線を動かして、何度も並べられた単語を眺めるが、答えは少しも分からない。僕が首を捻っていると、ルチアーノが身体をつついてきた。
    「こんなのも分からないのか? 頭が固いなぁ」
     にやにやと笑いながら、彼は楽しそうに笑う。からかわれるのは悔しいが、僕にひらめき力が無いのは本当なのだ。何も言い返せなかった。
     画面の中では、スタジオの芸能人たちが解答を上げている。賑やかに解答を上げていくが、正解者は半分くらいだった。
     しばらくすると、画面内にヒントが映し出された。赤い枠の中に、今回の法則が示されている。それは、こんな内容だった。
    『カレンダーを見てみよう』
    「ああっ……!」
     再び声を上げてしまって、慌てて口を塞いだ。ついさっき、大声を上げてルチアーノに咎められたばかりなのだ。恐る恐る隣を窺うと、彼は呆れ顔で僕を見上げていた。
    「君、いちいちリアクションが大きいな。で、答えは何になったんだよ」
    「『ある』の方は、祝日の名前になってるんだ。だから、お題の単語は『ない』」
    「正解だ。ちゃんと分かったんだな」
    「さすがに、ここまで書かれてれば分かるよ。僕だって馬鹿じゃないんだから」
     それから、しばらくの間、僕たちはテレビから出題されるクイズを問いていた。ルチアーノは頭の回転が早くて、出題されたそばから答えを上げていく。おかげで、僕はなぜその答えになるのかを考えることになってしまった。
    「これの答えはAだな。理由は……君に分かるかい?」
     ルチアーノに言われて、僕は画面に映るクイズとにらめっこする。出題形式はあるなしクイズから三択クイズに変わっていて、提示される画像の意味を考えて、三つの答えから正しいものを選ぶスタイルになっていた。さっきよりも難易度が上がっていて、ヒントがあっても僕には解けないものがあった。
    「これだけじゃ分からないよ。ヒントが出るまで待って」
     そう言って、僕は画面に目を凝らす。一生懸命考えるが、答えは分からなかった。お手上げ状態になってしまって、おとなしくヒントが出るのを待つ。
     その時だった。
     机の上で、僕の携帯端末が着信音を鳴らした。慌ててソファから立ち上がると、ボタンを押して電話に出る。テレビの音声が聞こえないようにと、リビングを出て廊下へと向かった。
     電話の内容は、大会の参加手続きの確認だった。何度か会話を交わしてから、通話を切ってリビングに戻る。ソファに座る頃には、クイズは次の問題に変わっていた。
    「さっきの問題はもう終わっちゃったの? 解説はどうだった?」
     ソファに腰をかけながら、僕はルチアーノに尋ねる。彼はにやにやと笑うと、意地悪な声色で答えた。
    「教えないよ。自分で答えに辿り着くまで、理屈が分からなくてモヤモヤするんだな」
    「そんな……」
     予想はしていたが、教えてくれる気は無いようだった。そこまで熱中していたわけではないが、分からないとモヤモヤする。焦らしプレイのような感覚だった。
    「そんなに気になるなら、調べればいいじゃないか。インターネットを見たら出てくるだろ」
    「そうだけど……」
     気になるとは言っても、調べるほどではない。これくらいのことなら、明日になれば忘れるだろう。
    「この問題はBだな」
     ルチアーノは淡々と問題を解いている。彼の楽しそうな横顔を見ていたら、クイズの答えなんてどうでもいいと思えた。
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