Cause we are "Knights"『ありがとう。夢ノ咲学院に星の数ほどある「ユニット」のなかから、「Knights」を選んでくれて』
ステージへ向かう一歩を踏み出したところで、何故か返礼祭で瀬名先輩に言われた言葉を思い出した。そういえば、あの時初めてちゃんと名前を呼ばれて、急に褒められて感謝されて、どこか気恥ずかしくて言いたいことがあったのに言えなかった気がする。
「あの、瀬名先輩」
「ん、なぁに」
モニターで観客席の様子を見ていた先輩の背中に声をかければ、すぐに顔がこちらへ向いた。
「……何故今更、と聞かれましても正直私もわかっていないので聞かないでいただけますと幸いです」
「え、…なに」
「私は、……夢ノ咲学院にアイドルになりたくて入ったわけではありません。私は、Knightsになりたくて夢ノ咲学院に入ったのです」
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