バレンタインよんぼバレンタイン当日。
前もってラスが『リオンからのチョコ以外で本命は受け取る気はない。』と宣言していたおかげで、チョコの山に埋もれることは無かったマクドール邸。クレオはソニアとバレンタインスイーツビュッフェに出掛けていて不在。そして厨房からは甘い匂いが漂っている。
「いいですか坊っちゃん、温めすぎないように、低めの温度になるように火加減を保ってくださいね。」
「わ、分かった。」
烈火の紋章で火加減を調整しつつ砕いたカカオパウダーとバターと砂糖を入れた物を湯煎しているリオンとそれを手伝うグレミオの姿があった。
数日前、リオンがラスへのバレンタインのために原料のカカオの実を持ってきた。カカオは南の暑い国で作られているため、ファレナからの交易品にあったらしい。そこからグレミオが実を粉砕しカカオパウダーを精製したのである。ただでさえ料理が壊滅的なリオンに一緒に作りましょうと提案したのもグレミオだ。
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