think of me ねえ、大哥はおぼえている?
あの春の日の、ふたりだけの結婚式。
木立を抜けたところに広がる草原と、荘厳な建物。いまにしておもえば、キャンプ場も併設しているような広大な公園のなかなのだけど。
やわらかな草のあいだでシロツメクサやタンポポといった素朴な野の花々をつみ、小さな花束を作った。花冠を作りたかったけど、幼い私では作り方がわからなかったし、一緒にいる大哥はもっと知らないだろう。
「大哥、懐桑とけっこんしきしよ」
テレビで見た結婚式の花嫁さんが、真っ白なベールに、後ろに長く伸びたウェディングドレスを着て、かわいらしいブーケを持っているのに憧れた。どこもかしこも華やかで美しくて、花嫁さんの輝くように幸せな笑顔に、自分も同じことをやってみたかった。
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