ロゾ日記side:Law○月1日晴れ
帽子を落とした。風に飛ばされて、近くの公園に落ちた。歩いていた道の側、植え込みの向こうを覗きにいくと、おれの帽子を見つけた。そして、おれはここで運命的な再会をした。帽子を拾おうとしている緑の髪の後ろ姿。随分と記憶よりは小さい背中だが、間違いなくゾロ屋だ。おれは思わず抱きしめた。知っているゾロ屋よりも細くて、柔らかくて、だが、髪は思ってた通りの手触り。やっと、ゾロ屋に会えた。ずっと探していた。今回も…この人生でも会えなかった、と思っていた。コラさんについて来てよかった。東の海の小さな街に来て1ヶ月。いや、おれがゾロ屋を探し始めて何回目かの人生。やっとだ。ゾロ屋以外の人間とは過去にも何回かは遭遇した。今回は特に会う人間は多かったし、記憶のある人間がほとんどだった。だから、きっとゾロ屋もそうだろうと、思っていた。海での記憶、それからのこと、最後の約束。やっと叶うと思っていた。
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