【さこみつ】主従で水浴び 昨日一日降り続いた雨は、今日の夜明け前にようやく上がった。久しぶりの本格的な雨に田畑は潤い、三成は「慈雨であったな」と微笑んでいた。
今朝までは。
朝餉を終え登城する道すがら、三成はまず城の周囲の林から盛大に響く蝉の声の洗礼を浴びた。
登城して執務に取りかかれば、今度は次第に高くなる太陽に悩まされることとなる。
昨日とは打って変わって雲ひとつない青空から照りつける夏の日差しと、それに加えて雨で濡れた地面から立ち上る湿気。
不快指数はうなぎ上りで上昇中だ。
いつも涼しい顔で顔色一つ変えずに執務に集中している三成だが、昼餉を終えて午後の仕事に取り掛かる頃にはもううんざりしていた。
八つ時(午後二時)、いつもより早い時間に左近が顔を出す。
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