新曲ユバ妄言
「おい、来る時は事前に言えっていつも言ってるだろ」
「そうね」
「おまえな…」
見慣れた白髪が玄関先にいるのを見つけて思わず小走りになる
セキュリティー面は程々に担保されているところを選んだとはいえトップアイドルを呼ぶにはいささか以上に不十分なこの家に出来れば来てほしくないと再三伝えているにも関わらずどこ吹く風なこの男に何度目かの説教をする
「怒るなよ、すぐ帰るから」
「…?千おまえ…」
いつもであればふてぶてしい態度で返してくるはずの相手からの拍子抜けすぎる返答に「何かあったのか」と喉元まで出かかった言葉を飲み込む
何かあったのかと聞けばきっとこの男は断片的にでも話してくれるだろう
しかし今の千にとっての「何か」はRe:valeに関することに違いなく自分はもうそれに関して寄り添うことは出来ないし、しないそう決めている
1936