Love Heals『──もしもし?』
深夜のバルコニーに聴き慣れた声がりんと響く。
リンクシェルの向こうにいるであろう、ふわふわした長い髪を結った眼鏡の青年の姿が、まるで本当にそこにいるかのようにわかった。
「やぁ、まだ起きてた?」
『まあね。納品用の薬がまだ全部できてなくて…何か用事?』
「いや、君の声が恋しくて」
『また調子のいいこと言って…』
ウェドは大きく息を吐き、緩い海風がタバコの煙をさらっていくのを目で追う。
『あ。タバコ吸ってるでしょ』
「今日はまだ2本目だ」
『ってことは3本目だ?ほどほどにしときなよ』
「なんでわかるかな…」
『伊達に君のヒーラーやってないからね』
柔らかな声が耳に心地いい。
言われた通りにタバコの火を消す。
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