嫉妬ずかずかと立香の腕を引っ張ったまま、マイルームへ向かう。突然現れたオベロンの行動に立香は理解が追いつかないまま、足をもつれさせながらもなんとか着いていった。マイルームに辿り着くと乱暴にベッドに座り込み、立香を睨みながら見上げてきた。先程から何も発せないのが逆に無言の圧力を感じて怖い。
「本当、きみって奴は」
ようやく聞こえた声は明らかに怒気を含んでいて。全てが拗じ曲がってしまうオベロンにしては珍しく、本気で怒っているようだった。オベロンの異形の手が立香の右手を掴んで自分の方に引く。彼女の掌からふわりと漂う花の香り。リツカに染み付いたあいつの臭い。反吐が出そうだ。ついでに近付いてきた立香の顔面を空いている右手で掴む。俗に言うアイアンクロー。指先に僅かに力を込めれば非難の声が悲鳴と共に上がる。
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