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    inainananana

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    inainananana

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    謎時空

     藤丸立香に魅了の魔術をかけた。
     結果は驚くほどあっさりかかってしまった。
     彼女は魔術師ではないので当たり前である。当たり前なのだが、ここまで耐性がないとは少々驚いた。そして少々驚いた自分に驚いている。オレは彼女に何を期待していたのだろう。
     とはいえこれで条件はクリアした。この手の結界はシンプルゆえに強固な強制力を持つものだが、条件さえ満たせば解除は容易いのがセオリーだ。現に先ほどまではなかった空間に出口らしき扉が出現している。
     「出よう」
     促せば素直についてくる。魅了の魔術などなくても彼女はオレの言葉に従っただろう。彼女はオレを無防備に信用している。
     結界から脱出し次第解除するつもりで扉を潜った。あっけないものだ。何がしたかったのかまるで意味のない結界だった。

     はたして、そこには今しがた出てきたばかりの結界にあったものと寸分違わぬ景色があった。

     「何……?」
     ストームボーダー内にあてがわれた幽閉室という名ばかりの居室に似た、寝台と簡素な机、椅子があるだけの白い部屋がそこにあった。しかし振り返ればあるはずの扉はなく、果ての見えない暗いばかりの天井が、ここが自室などではなく未だ結界の中であることを示していた。
     理解してすぐ藤丸にかけた魅了を解く。そもそもかける意味のない魔術である。
     「デイビット、これ……」
     「ああ。そもそもの提示条件の定義を考え直す必要があるな」
     机の上にはここを出る前にいた部屋と全く同じ文言が書かれたメモが、ここを出る前にいた部屋と全く同じように置かれている。

    『相手を魅了しなければ出られません』
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    recommended works

    eyeaifukamaki

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間の沢北side
    ネトフリ公式ので、萌え散らかしたww
    これ聞いて、ちゃんと深津さんに愛されてるよって思ってるけど、このさぁきたくんは相当自信をなくしておりますww
    ちなみに深津さんは沢北ファンの前では一緒にいないようにしてるので、深津さんと沢北ファンとの接点がなくて、みんな沢深推しなのに誤解されたまま。
    誤字脱字確認用
    『カズがノアとアシスタント契約を結んだらしい』

    それはチーム内でもすぐに噂になった。でも、誰もあまり驚かない。それは深津さんがそういう人材に適してる事を意味していた。まだ早いんじゃないかという意見も聞こえたが、概ね、みんな納得してこの事実を受け入れた。ただ、深津さんはみんなから好かれてる。

    「カズがいないと寂しい」
    「エージ、カズはいつ帰ってくるんだ」

    みんな口々に俺にそう言ってきて、深津さんの情報を聞き出そうとする。でも、そんなのは俺が知りたい。誰よりも深津さんは俺を避けている。これから深津さんの話を聞くことができるのは、俺以外の誰かから。

    なんで?
    どうして?
    俺が嫌だった?
    好きじゃなかった?

    でもよくよく考えたら、深津さんから好きって言われた事がない。高校の時に、俺から告白して、無理矢理体を繋げて、それで今までずっと上手くやってきたから忘れていた。行動で示してたつもりだったけど、馬鹿だな、俺は。深津さんの気持ちをちゃんと聞いたことがない。自分が頑張れば、深津さんは自分のものにできると、ずっと思って行動してきた。それはそれで間違ってはいないけど、それに言葉が伴ってない。深津さんの気持ちも聞いてないし、俺だって、最初の一度きりでそれ以来、ちゃんと気持ちを伝えてない。全部、何もかも、俺の勢いと想いだけで成り立っていた関係だった。だから、今になって、なんで?どうして?と、根本的な疑問しか考えられない。普通なら“好き”が大前提にあって、それとは別にここが嫌だとか、こうしてほしいとか、そういう具体的な問題が出てくるもんだ。でも最初から言葉が足りてないから、何が嫌なのかも分からない。頑張ることだけをやり続けていた俺には、追いかける術を持っていない。正直、これからどう対処すればいいのか、どう動けば正解なのか、全く分からない。動いたら動いたで、何もかも裏目に出そうで、それが原因で本当に深津さんを失いそうで、その恐怖が付き纏って何もできなくなってしまっている。深津さんがいなくなって、十日経ったあたりから、俺のファンも異変に気づき始めた。情報収集は俺より優れているから、もう、どういう状況かも把握している。心配そうに聞いてくるのを、困った顔で返す事しかできなかった。
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