ヒョク「ヒョン、驚かないんだ」
「え?何に」
ハン・ジュウォンはほろ酔いの時――特に自分の前では――素直で融通の利かない、生意気な弟分のままだ。
「僕の好きな相手がドンシクさんでも」
あんな地獄を経験したのに案外けろりとしていて安心したら、恋愛相談なのか何なのかわからない報告をされている。ドンシクを表す言葉や、想いを伝えるべきかを悩む様は、古い時代のインテリが酔って詩を詠むようだった。
どれだけ焚き付けてもどの美女にも興味が無かった男が、まさか、執拗に調査して容疑をかけて、逮捕までした男に惚れるなんて。
そう思ったものの、ドンシクとジュウォンの間の空気は特別なものだと知っていたから、自分でも意外なくらいすんなり受け入れた。
5103