ラッキーと策略「は」
「あ」
少しの言葉で完結する情報量の少なさとシンプルな事故にその言葉だけでも充分事足りるだろう
もう全て脱ぎ終わった上半身、下半身には少し上品な下着を纏った状態のルメリを璦が偶然事故で見てしまった、と言えば分かるだろうか
現代的に言おう、ラッキースケベだ。
「〜〜〜っ馬鹿野郎!!!」
滅多に出さない大きな声で璦を追い出す
大きめの胸は片手で隠されており、白い肌とは裏腹にザイトゥン桃の様な色に染まった頬がルメリの顔に映されている。
「ルメ姉ごめんって〜〜!!でも掛け看板、裏返ってなかったよ?」
説明しよう
ここの家ではドアに鍵がかけられない為掛け看板を使ってOPEN/CLOSEかどうかを判断するのだ。
表がOPEN、裏がCLOSEの仕様となっており、風呂に入る場合はその掛け看板を使用する。
璦が言っている事は表のOPENの状態のままルメリが風呂場へ行こうとしてたのだ。
「あぁ………わ、悪かったよ…ってそれより!出ていけよ!変態!」
ハッとした表情で唐突に璦を無茶苦茶言う、ルメリは同性でも恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。というか恋愛初心者過ぎて関節キスもままならないだけなのだが、
「えぇ〜〜?でも掛け看板にはOPENって書いてあるよ〜?……つまり、ルメ姉と一緒にお風呂に入る権利が私にはあると見た!」
ニマニマする璦とは裏腹にずっと顔が真っ赤なルメリは目を見開いて動揺した、目にはぐるぐると渦巻き模様が入ってるように見えた。
「ばっ、馬鹿なんじゃねぇのか?!だ、誰が入るか!!」
大きく口を開け、反論する
反論する度に胸が揺れて、下半身が強調される。
胸が大きく、下半身のラインも男性好みの体のルメリは男性キラーと呼ばれる程には男の初恋を奪った事がある。
肉付きが良いのは本人のコンプレックスとか、そのせいで何人の男に目をつけられ大変な目に合った話とかはまた今度にしよう。
「いーじゃんルメ姉!ルメ姉と入るの久しぶりだな〜!!……1番最後に入ったのって6年前位だっけ?」
「ぁー!もう!早く脱げよ、先に入ってるからな」
完全に押し負けたルメリが半ばヤケクソ気味に璦に言うと、ガチャと言う音と共に風呂場に入っていった。
▽▽▽
ちゃぷん、と音がする
バスタブの水が、暖かくて気持ちいい。
「やっぱり2人で入るのキツいね、ね?ルメ姉」
「……うっさい。」
ぷす、と珍しく子供らしい分かりやすい拗ね方をしてるルメリを見てぱちくりと瞬きする
「……ルメ姉、なんで拗ねてるの?」
「拗ねてない」
璦が後ろから話しかけようとするとぷいっとよそ見をする
元々怒る時や拗ねる時は顔には出さないルメリだったが、今回のパターンは珍しく、璦も見たことがないパターンだった。
「…もしかして、私と入るのそんなに嫌だった?」
「嫌じゃないって!〜!!もう!今太ってるんだよ!」
璦の方を斜めで見たルメリの顔は大変可愛らしかった
元々156cmのルメリと168cmの璦とでは12cmも身長差があるのだが、そのルメリの可愛さを更に引き立たせるこの身長で良かったとも、璦は思っている
「…やっぱりルメ姉、かわいいね。」
ルメリの耳元で璦が囁くと、ルメリの肩がぴく、とする
目の動きは止まり、どくどくと心臓の音がわかる程にドギマギしているのがルメリ自身も分かっている
ふふっと耳元で笑うと、ルメリの臍から上をつぅ…となぞっていく、指一本で、胸まで届くか届かないかくらいのギリギリの距離で、確実に詰めていく。
「ん……ぁ…ゃ、やめろ…ばか…」
「ん〜?声が小さくて聞こえないな〜。」
馬鹿って言ったんだよ!と返したかったが生憎そこまでの余裕をルメリは持ち合わせていなかった
この快楽を感じやすいこの体は、大変に都合が良い
このなぞるというごく単純な行為で感じてしまうのだから。
なぞり終わった後は背中にキスをする
丁度璦の正面にあるその背中は、こぢんまりとしていて可愛らしい、今すぐ食べてしまいたい程に。
1つ、2つと細かくバードキスを散らしていく
偶にキスマークを施すので、ちぅ、じゅ、と言う如何わしい音が風呂場に鳴り響く
キスマークをするとルメリの体が跳ねるのが大変可愛らしいと璦は思っている、まぁ全てが可愛らしいのだが。
「せなかに、キスマークゃめろって、ん、何回も言ってるだろ…。」
「ごめんねルメ姉、ルメ姉の背中が美味しそうでつい…ね。」
「美味しそうってなんだよ……、変わったヤツだな、本当に。」
はぁ…とため息をついて先にあがろうとしてバスタブを立つと、璦にくいっと手を引っ張られる
「ルメ姉待って、こっち向いて。」
ちゃぷん、と璦もルメリと同じくバスタブを立つ。
?と疑問符を浮かべた思考を後にして、璦と目を合わせられる方向に転換すると、その瞬間に唇を貪られた
貪られただけではない、ぬる、と言う音がして、舌が入ってきたのが分かる
ちゅく、ちゅ、ぴちゃ、
唾液が絡まり合うそのセンシティブな音は、2人にはよく聞こえる
突然舌を入れてきたのでルメリは必死に抵抗しようとするが、力が抜けて上手く抵抗出来ずに、璦に流されるまま深いキスを施される
っぷは…とキスが終わって二人の舌から唾液が伝う。
「っは……ん……ぁ……馬鹿、ド変態が。」
「え〜?ルメ姉も案外ノリノリじゃなかった?」
のらりくらりと躱すその姿に呆れるように、ルメリはバスタブを出た
「っはぁ、っは……次は、つぎは無いからな…あほ」
肩で息をしながら風呂場を出た、背中も耳も首も真っ赤で、所々にキスマークを施されているのがいかにも璦の色に染められている感じがして、璦は背徳感に溢れた。
「ルメ姉、やっぱり食べちゃいそうな位可愛い。」
この2人の同居生活は、どうにも平穏の一言では済ませられないらしい。