そうじゃない俺の人生はかなり良かったと思う。
苦しく辛い時期はもちろんあった。
だが今ではこうして弟や子供、更に孫たちにまで囲まれて天授を全うしようとしている。
こんなに穏やかな気持ちで死に迎えることができるなんて思いもしなかった。
ただ一つだけ思い残したことがある。
結局親父とは最後まで普通の親子として接することができなかった。
もし次生まれ変わることができるのならまた親父の子供になって、今度は普通の親子として一緒に暮らしたい。
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「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」
やけに明るく元気な女性の声と赤ちゃんの鳴き声がする。
視界は不明瞭で眩しい。
さっきまで病室に居たはずなのにどこだここは、というかなんだ、何が起こった。なんでこんなに赤ちゃんの声が近くで聞こえるんだ。
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