朝早く目覚めて部屋を出るとKKがいた。
「おはよう、KK」
「おはよう、もう少ししたら朝ごはんできるぞ」
「うん、その前にラジオ体操しなくちゃ」
ラジオ放送の流れるスピーカーの前で両手を広げる。誰もいないけれど一応両手を広げてぶつからないのを確認する。
飲み物はどうする、と背後から聞かれてコーヒーがいいと答えた。砂糖と牛乳入れて、と上半身を捻りながら付け足す。
ラジオ体操の後にやってきたみんなと朝ごはんを食べて、勉強しようとKKから課題をもらう。
「出来のいい暁人君には難しいのをやろう」
「任せて、今日は調子がいいから!」
小学生の時とかは宿題とか好きじゃなかったと思うけど今はできるとKKが褒めてくれるから楽しい。最近丸くなったのか憎まれ口も減ってすごく優しいし。
「暁人、今日は散歩行くか?」
「散歩?」
「あー、調査だ調査」
「うん、行こうか。先週の木霊の様子も気になるし」
台風で折れた木に憑いていた木霊の引っ越しを手伝った。呼ばれて一人で行ったからKKは心配してたけど、事情を説明したら納得してくれた。
水筒にお茶を入れて、帽子を被って、札を下げて挨拶して出発する。
KKとお喋りしながらゆっくり歩いて目当ての公園に辿り着いた。
「あ、いたいた」
木霊は僕とKKを見つけるとぴょんぴょん跳び跳ねて元気だと教えてくれた。それから栗を手のひらいっぱいにくれる。
「ありがとう、また来るね」
帰って栗を見せると驚かれたけど、調理してくれると言う。僕もできるんだけど火と包丁は危ないからまた今度だってKKが言うので子ども扱いするなよと怒った。僕はもう大分大人なのに。
でも謝ってお菓子をくれたので許してあげる。僕は大人だからね。
昼ごはんを先に食べて歩いて疲れたから昼寝をして、おやつを食べてお札作りをして、お風呂に入って夕ごはんを食べる。
「暁人、テレビで幽霊の話をやってるぞ」
「だからホラーが好きなのはKKだろ」
近場で行きたいって言わなければいいけどと心配したけど遠くの話だった。
でも温泉宿とか久しぶりに行きたいな。
「行く前にオレに声かけろよ」
「うん、一緒に行こうよ」
KKは微笑んで頷いてくれた。
歯を磨いて今日最後の薬を飲んで部屋に戻る。その前にKKに挨拶をしようと思ったらいなくて探したら玄関の施錠を確かめていた。
「どうした?」
「ううん、おやすみKK」
「ああ、おやすみ、また明日な」
布団を被るとすぐ眠くなった。目を閉じる前に時計を見ると810822と書いてあった。