天彦の気まぐれに付き合わされるのは珍しいことではないし、ふみやだって常日頃から天彦を振り回している自覚はある。だからお互い、多少のことでは驚かないし大抵のことは許容しているが、流石にこれはどうなんだろうか。手足を拘束されてベッドに転がったまま抗議するように視線を送ると、ふみやの身動きを封じた張本人である天彦は柔らかく微笑んだ。1ミリも悪いと思ってないような顔にため息を吐く。
「……お前が変なプレイをしたがるのはいつものことだし、まあいいんだけど。何するかだけ教えて」
「ふふ、理解が早くて助かります。実は天彦、新曲ができまして」
「は?」
しんきょく。新曲か。そういえば最近忙しそうだったが、曲。なるほど。外出が増えていたのはレコーディングとか行っていたのだろうか。教えてくれれば着いていったのに。以前は一緒に連れていってもらった気がする。
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