ある朝目覚めたら、見知らぬ場所にいた。
見渡してみると、どうやらレストランか喫茶店のような場所である事が分かった。
クワトロはゆっくりと歩を進めながら辺りを観察していく。
「ここは…私は一体…」
ふとガラスの食器棚に映った自分の姿にはっとした。
「これは…ここの従業員の服か?」
なんとなく理解が進んだ。
つまり「ここで従業員として働け」という事か。
何の冗談だ。
やれやれと溜息をついたその時、どこかから複数人の声がした。
どうやら自分以外にも「呼び寄せられた」人間がいるらしい。
声が聞こえた方向に向かうと、やはり従業員の服を着た者達が談笑していた。
その中のひとりを見てクワトロは息を飲んだ。
自分が手を掛けてしまった親友が目の前にいたのだから。
心臓が早鐘を打ち、嫌な汗が流れる。頭はがくんがくんと激しく揺らされているようだ。
このまま気を失い、目覚めたら元の場所に戻っていて欲しい。そんな願望が脳裏をよぎる。
「が、ル……ま…」
「シャア!!」
クワトロに気づいた親友は嬉しそうに駆け寄り抱きついた。
「君は…」
「見知った者がいなくて心細かったんだ…シャアがいて嬉しいよ!」
「ガルマ…」
屈託のない笑顔が胸に突き刺さる。
自分にだけ見せてくれた、かわいらしい表情。仕草。
7年前となんら変わりないものが、自分が愛した、そして殺したガルマである事を証明してゆく。
「ガルマ…私を……」
「シャア、ボク、ホワイトベースへ攻撃した後の事を覚えていなくてな…。気付いたらここにいたんだ。」
「それは…!!」
ごくり、唾を飲んだ。
「ボクは死んだのだろうか?それさえも分からないが…シャアと一緒なら天国でもこのお店でもどこでも楽しいよ。」
そうしてガルマは夢のような綺麗な笑みを見せた。