百合つるくりざあざあと、大降りの雨粒が容赦なく降り注いで身体を濡らす。
この時期の雨は痛いほどに冷たい。
アスファルトで跳ね返った雨水が足を凍らせる。
あまりの冷たさに一瞬身体が固まってしまったが、鶴丸が手を引いて走るから凍りそうな足をがむしゃらに動かした。
鶴丸の白い手は、きっと冷たいのだろうと思っていた。
でも実際は自分のそれよりもとてもあたたかで、冷たかった自分の手がみる間に熱を持つのがわかる。
鶴丸の体温が自分へ移ったのだと自覚して、ドクリと大きく心臓が跳ねた。
「あの信号を左だっ!」
雨粒に負けないよう大きな声を出す鶴丸の細い肩がずぶ濡れになっていて、冷たさで折れてしまうんじゃないかと心配になった。
おろしたてのロングスカートが濡れて、足に絡まって走りづらい。
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