…あれはいつだったか
ある微小特異点で、聖杯を回収した後に
いつも前を向き、意志が強く、善なる心を持ち、慈しみ溢れた我らのマスターが○○○○
教会の鐘が響いた
その特異点は欧州の小さな村だった
そこの教会で結婚式が行われていて
眩しい物を見るかの様に、あの娘はそれに憧れると少女の顔を見せていた。
その表情はまるで我が…
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「は…ッ」
闇
ドゥリーヨダナの意識が浮上した時に見た物は暗闇だった。
そして自分の下にはなにか粘着のある液体まみれの生き物が蠢いていた
「気持ち悪ッ!!!!」
ヨダナは棍棒を召喚しようとするが、何の反応もなかった。
「な、なんだこれは!どう言う事だ!」
黒幕がまた何かをしたのかと、ドゥリーヨダナは怒鳴るように不満を訴える。
体を動かそうとするも、何故か力が入らなく、抵抗もできない。
蠢く黒い蟲がドゥリーヨダナの体を穢し、粘着のある液体が体に触れる。感覚的に精神的に気色の悪い感触にヨダナは叫んで助けを呼ぶしかなかった。
しかしどんなに喉を張り上げようと、なんの反応もなく返答もなかった。
そろそろ喉から痛みを感じるようになった、その時だった
「無駄だよ、ここでは」
「?!この声は…」
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『…ビーマが倒した巨大カリがドゥリーヨダナだったらしい』
「……っ」
ビーマ、藤丸、そしてダ・ヴィンチは情報交換をし、状況の把握を試みた。
『黒幕は多分、この時代のこの国の神…今、この時代に近いサーヴァント達とも確認をした』
大地の神がこれ以上は人間を支えられないと、神々に頼んだ。
ドゥリーヨダナは神々に作られた、人間の人口を削減する為の機構だ。
だからこそ、創造主である彼等ならヨダナの体を好きに作り変えられる事ができるだろう。
「そいつらが、ヨダナとのパスを切ったんだね」
『うん、しかし金剛不壊たる英霊とマスターの繋がりを、カルデアのシステムを切断するなんて…とにかく危険だよ』
「ドゥリーヨダナの状況は…」
マスターはダ・ヴィンチの方を見る。
『…彼の座が壊れた。もう「ドゥリーヨダナ」はこれから召喚できない。』
「「!!」」
正確には「史実のドゥリーヨダナの座」がなくなった。
『…元々、彼の霊基は不安定だった。ドゥリーヨダナという「無辜の怪物」が「人間であった存在」と混合していたんだ。今はもう「存在」が消えて…無辜の怪物だけが残った。
結論から言うと、ドゥリーヨダナはもう…』
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「もう「君」は召喚されない。「転生」というのもないよ。
君の魂も存在もあの神々に捨てられ、世界の輪から外された。」
「……」
「ああ可哀想に…同じ「花に纏わる者」としてお悔やみ申し上げるよ」
「…それにしては、とても楽しそうだな……花の魔術師よ」
魔術師マーリンはにっこりとドゥリーヨダナに微笑んだ。
「で?貴様はそんな絶体絶命大ピンチのわし様を…助ける気はないようだな」
「ハハハハもちろん。当たり前じゃ無いか。助けるつもりは毛頭ないよ?」
「……」
ヨダナは綺麗な人の形をした魔を静かに睨んだ。
「ああ、勘違いしないで欲しいな。私は別に君の事が嫌いだからとかの私情はないよ?むしろ…そうだな……異国の神々が作った創作物に少しの興味はあるけど、かかる労力との天秤に釣り合わないね」
「…さっきから人手なしな言葉しか話せんのか貴様は」
「おや、気分を害してしまったかい?それはすまないね」
「…心にもない癖に……視界から消えよ夢魔」
冷たい言葉を放つが魔術師の笑顔は拭われなかった。
「我らがマスターの為に君の力が必要だ」
「!」