雪にぃと礼光さんふっと意識が浮上する。
見慣れてきてしまった天井が目に入り、ブラインドのすき間から差し込む光にぐっとまた目を閉じた。
ゆっくりとからだを起こし、ベットの傍らに置かれているケージを見る。
礼光よりも早起きのウサギたちは今日ももう起きているようだ。異変はない。
「おはよう、礼光」
覚醒しきっていない頭に響かない、落ち着いた音が聞こえた。
挨拶をされている、と認識しそちらに目を向ける。
「すまない、起こしてしまったか?」
「いや」
ウサギたちと同じように早起きらしい同室の男、神名はトレーニングの準備をしているようだった。
「昨日も遅くまで仕事をしていただろう?よく眠れたか?」
「……あぁ」
眠りは浅く、神名が言うよく眠る、に当てはまっているかはわからない。
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