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    1YU77

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    1YU77

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    ブラ企業のやぎしず本編おまけみたいな…
    別世界友情ルートに繋げようしたけど断念!
    やっぱりくっつきます!
    本編読んでないと意味不明です😂!

    ブラ企業のやぎしず(おまけ八木視点)SSSS『しずま―――ッ!!』
     長年紫煙で焼いた喉が枯れる。正面にいた上司を突き飛ばし駆けだした。
     ぐったり冷たい床へ倒れた志津摩の肩を抱く。がくんと頭が後ろへ倒れて完全に意識を失っている。薄く開いたままの唇へ手をあて呼吸を確認する。温かい息はある。
    「志津摩、志津摩ッ!」
     声を掛けるが戻らない。そうしていると額からとろりと血が流れ落ちてきた。
    「救急呼べ、上に連絡しろ、」
     周りの部下に指示をして冷えて煙い作業場を出ようと頭の傷を手で押さえつけ志津摩を抱き起す。肩と膝を腕で支え抱き上げる。志津摩、志津摩。その間も眼を閉ざしてしまった志津摩に声を掛け続けたが意識は戻らない。近くの客室へ運んでそっとソファへ寝かせる。
     酷く鼓動が早い。苦しい。怖い。手がぶるぶると目に見えて震える。それでも頭の傷を確認する。髪を分けその傷口を見て頭をソファのひざ掛けへ乗せる。近くのタオルを引きよせてあて押さえつけた。すぐに赤く染まり上着を脱いでタオルの上から覆い強く押さえる。
    「志津摩っ、志津摩、目を覚ませ」
     意識がない、死んだばかりの人間のように志津摩は動かない。だらりと落ちた手を掴んで呼びかける。起きない。志津摩は起きない。血が止まらない。八木の作業服に血が滲んでくる、焦りが膨らむ、息が苦しい。必死に傷をおさえ八木はぎゅっと目を閉じた。


     担架に乗せられる志津摩を見送り、涙が滲んできた。
     志津摩、二度と傷つけないと決めていたのに。
    「八木さん、大丈夫ですか。少し休んだ方が……」
     近藤が気遣わし気に見上げてくるのに首を振る。
    「志津摩の家族に連絡つけねえと。それから俺も病院いく」
     八木が抜けると仕事がやばい。自覚もしているが近藤は八木を止めようとせず「任せてください」と言い切った。近藤が頷いたのをみて作業途中の説明を簡潔に伝えた。幸い、作業も区切りのつきそうな時間だった。事務所へ行き人事に事故の状況報告、志津摩の緊急連絡先へ報せを頼んだ。それから許可を得て車を飛ばし病院へ向かう。そこまで全て殆ど無意識に動いていた。頭の中は妙にふわふわして落ち着いていない。ずっと意識のない志津摩の顔が頭に浮かんだまま離れない。何も手につきそうになかった。

     病院へつくと処置室の前に案内されたが待っていられず煙草を吸いに喫煙所へ篭った。一本吸っては戻り二本吸ってはまた戻り。そうこうイライラしている内に近藤と人事担当がやってきた。志津摩の身内とはまだ連絡がつかないらしい。
     現場は通常通り落ち着いていて、事故のことは酒井が改めて報告にいったという。
     そうして恐ろしく長く感じた志津摩の処置や検査は終わり医者から人事が説明を聞き、傷は深いが今のところ脳に損傷した部分もなく、暫く要経過観察だが時期に目を覚ますだろうとのことだ。詳しい検査結果はまた明日に。
    「はぁー……」
     八木は大きな息を吐いて帰路についた。近藤に止められそうになったが振り切った。
     一端、気を冷まして落ち着かなければ、顔を見ると力任せに抱きしめて泣いてしまうような気がしたからだ。
     志津摩が、もう辛い記憶と向き合わなくて済むように。
     八木は、ただの上司でいたい。この先、志津摩が苦しい時に、苦悩と直面した時に、志津摩の望む歩みをそっと支えてやれる人でいたい。


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