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    1YU77

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    1YU77

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    呟き妄想のらくがきSS いみなしやまなしおちなし

    やぎしずに乾杯 やぎしずにかんぱい🍻








     八木に声を掛けられ隣にちょこんと腰かける。それまで八木の隣にいた先輩の間に引っ張られて押し込まれ小さくなる。なんだか居心地が悪いのは、周りがいつも何やら微笑まし気な目を向けるからだ。
    「八木ほんと田中来たら絶対捕まえるよなぁ~」
     八木は小首を傾げて志津摩の為に小皿と割りばし、おしぼりを前に引き寄せる。
    「あ? 志津摩の特等席おれの横だし」
     悪びれもなく宣言して「志津摩なに食う?」とメニューを開いて渡される。
     てきぱき先にビールを注文されて志津摩の前に置かれる。
    「勝手にきめんなよ八木~!」
    「うっせえな、志津摩はビールスタートなんだわ」
     がじりとから揚げを頬張る八木は志津摩の顔を覗き込んでくる。
    「志津摩きょう何してた、呼び出して悪いな」
    「いえいえ、うれしいです、暇でしたし!」
     みんなでそろってジョッキで乾杯すると先輩は眉を下げる。
    「田中、お前いやなときは断る勇気だぞ!? 八木がどんどん依存してる~」
     志津摩は苦笑いで「大丈夫ですよ!」と答える。
    「ええ~志津摩ヤなの? どうなんだよ」
     がしりと肩へ腕を回されて志津摩はドキリと身体がはねる。八の字眉の八木にまたホロ苦く笑う。八木の背をぽんぽんして首を振った。
    「や、嫌じゃないですよ!」
    「ほんと~?」
     ぐっと距離を近づけ覗き込まれて志津摩はあわあわと目を泳がせる。
    「ほんとですってば、でも、けどお……」
    「あ? なに」
     口籠もると先輩達が応援してくれる。
    「田中がんばれいったれ!」「八木のだるがらみまじ勘弁だろ!」「田中正直にいっとけ!助けてやるから!」と激励し、八木はその野次に「うるせえ!」と威嚇している。
    「あの、う~~~」
     志津摩は弱る。八木が距離ちかで困るなんて言えない。嫌なわけじゃない、決して。
     けれど困るのだ。だって、勘違いしそうになるから。
    「お、志津摩、今日先風呂はいった?」
    「い!!!!」
     八木は気安く呟くと、近づいたせいか石鹸の匂いが漂ったか引き寄せられるように更に距離を縮めくんくん首元を嗅いできた。
     いきなり呼び出してきたので、志津摩はすでに風呂を済ませていたのだ。
     すんすん嗅がれて志津摩は慌てる、鼻息が首筋に当たる。心臓がどんどん騒がしくなる。比例して顔も熱くなるからなんとか隠したいのにどうしようもなくて、俯く。
    「こら八木それだ~~! セクハラだ、やめろやめろ!」
    「そうだぞ、そういうのが田中困らせてんだよ!」
    「お前は田中が優しいからってそういうことする!」
     八木はむっとして口を噤んだが、またそっと志津摩を窺う。
    「嫌か?」
     聞かれてふるふる首を振る。
    「正直に答えられるわけねえだろ!」
     友人らからもっともなことを言われて八木は真面目に腕を組む。
    「俺は志津摩にしかしないぞ、優しいからだけじゃねえし」
     なんと軽々しく恐ろしいことを言いだした。
    「へ!?」
     慌てて顔を上げると八木はじっとこっちを見ている。
    「だからお前近いんだって、やめてやれって!真面目に!」
     まじトーンで窘められると八木はなんと。なんと。
     志津摩の肩をぐっと引き寄せた。
    志津摩が驚くまもなく言い放つ。
    「近くもなるよ、すきだもん」
     しーん。しーーーーーーーーーーーん。
     騒がしい居酒屋でそのテーブルだけが数分沈黙した。
    「え!?????」
     友人三人が飛び上がるように席を立つ。八木は開き直ったようにまた言う。
    「だって、すきなんだからしょうがねえだろ」
     挙句の果てになにやら今更気恥ずかしそうに目を泳がせる。
     しかし、ふうと息を吐くと固まってしまった志津摩の両肩を掴んで身体ごと向き合った。
    「……この際だからいう」
    「え、ええ、あのっ、まって」
    「またねえ」
    「え~~、まってやぎさん、」
    「好き。つきあって、ほしい、俺と」
     八木はきちんと志津摩の目をみてはっきり告白した。
    「ええええええええええええ!!!!!!????」
     先ほどまでの沈黙が爆発する。
    「あの、やぎさ、」
     戸惑いながら真っ赤になって応えようとすると、八木はこっちに掌を向け焦ったように言葉を遮った。
    「あ、い、いやその! へ、返事はすぐじゃなくて、も―――????!!!」
     志津摩は思い切って、否、ほとんど衝動的に。ぎゅっと八木に抱き着いていた。
    「はい! おれも、す、すきです!」
    「えええええええええええええええ!!!!!????」
     悲鳴を上げながら何故か盛大な拍手をする友人たち。
    「お、おれも、好きなので、八木さんきょりちかくて、こまって、いました」
     おずおず答えると八木はやっと止めていた息を解放し深いを吐いて、八木もぎゅっと志津摩を抱きしめた。志津摩の肩口で嬉しそうに笑っている。
    「うへえ……おめでとー……」
     未だ拍手で祝福しながら、友人たちは呆れた笑いでぐりぐり擦りより嬉し気な二人を見守った。
    「ハイハイ! 公共の場です、はなれてください!」
     バンバン!とテーブルを叩きにっくきカップルを正気に戻す。
     するとどうだろう、あのクソ負けん気生意気の八木が「うへへ」と照れくさく破顔している。田中の方も口元をぐずぐずへにゃへにゃしながら真っ赤である。
    「か~~~~~~もう、その予感あるなら、さっさとくっついとけよ!!俺らの前でやるな阿保!!!」
     もっともなクレームを吐き掛け、再びジョッキを掴む。
    「やぎしずに乾杯!」







     









     
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