俺とお前は違うから「……俺、もう帰るわ」
賑やかな廊下で、壁に凭れていたルシファーは背を向けた。
黒い髪が小さく揺れる。
「待ってよルシファー。まだライブ見ていくんじゃないの?」
そこを、金髪の男が引き留めた。
名前をシガアと言い、今このライブハウスでライブをしている張本人だ。
今は休憩時間だが。
「もう充分見ただろ。それに、俺がここにいても邪魔になるだけだ」
……邪魔になるだけ、というのは、
それは、ルシファーとしての本心でもあった。
ルシファーはシガアの歌っている姿をまじまじとみることはなかった。
だからこそ、ライブハウスでシガアが歌う姿を見ることは、嬉しいものの筈であった。
……しかし、
バンドは一人では出来ない。
ボーカルがいるなら、周りには演奏する者が集うのだ。
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