エラドの独白 私は、Bugdoll様が好きだ。
それが恋愛なのか、敬愛なのか、はたまた依存なのか崇拝なのかは、もはや分からない。けれど私はそれでも、その名称し難い感情を、あの方へと向けていた。あの方は常に私の光だった。救世主だった。だから、願わくば、ずっと側にいたいと願った。
けれど。
「!Voidoll!」
ある日の帰り道、Bugdoll様が嬉しそうな声を上げる。正面には、白髪ツインテールの少女。Voidollと呼ばれた彼女も、Bugdoll様に優しげに微笑む。
「おや、奇遇ですね。ワタシもご一緒よろしいですか?」
「ああ、構わない。な、エラードール」
「………ええ」
内心に渦巻くどす黒い何かを無理矢理抑えて軽く笑顔を作る。Bugdoll様は…彼女が好きなんだ。時折つっけんどんに振る舞いながらも、彼女にしか見せない表情で話すBugdoll様を見て、そう思う。本当は、ずっと前から気づいていた。それを気づかないふりをしていた。それを認めてしまったら、何かが壊れてしまいそうな気がして、嫌だったから。
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