いつだってカーテンの隙間からわずかに光が滲む。まだ早朝と呼ばれる時間に目を覚ますと、いつもは角名を抱きこんで眠る男の大きな背中が見える。
いつもは抜け出すのに苦心する、角名を柔らかく閉じ込める檻は身体の向こう側に投げ出されたまま。
裸足のままペタペタとキッチンに向かうとペットボトルの水を口に含む。
まだ熱を持つ身体に冷えた水が心地よい。
ふう
窓のカーテンを朝の涼しい風がふわりと揺らすのをぼんやりと見つめる角名の背に、ぺたりと熱がはりつき恋人の香りに包まれる。
「おれも」
ペットボトルを差し出すと「すなー」と不満げな声が漏れる。
なんだよ。背を向けて寝てたくせに。
ぐいと水を含むと治に向き直り、首に両手を回すとゆっくりと口づける。少しずつ水を流し込むとこくりと喉が動く。
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