原は結構自分のことに関しては適当なところがある。例えば食事。原は料理自体はできるけど、自分1人ならスープくらいしか作らない。
ひどいときには2日くらいは余裕で抜くことだってある。僕がメンテナンスで数日眠っていた間、ほとんど食事をとらなかったみたいだった。
「原、君は僕がいないとご飯食べないのかい?」
目が覚めて最初に交わした言葉がそれだった。
原の薄い体に触れる。元から食が細く痩せ型だが、僕が眠る前よりも明らかに痩せていた
普段は滅多に体を触らせることのない原だが、メンテナンス明けということもあったのか、今日は僕が抱きしめても拒まなかった。
華奢で、少し力を込めたら壊れてしまいそうな痩せぎすな体。落ち着いた心音、優しい温もり。
「あとでご飯作るからさ、一緒に食べよ」
抱きしめたまま、呟く。
「ん」
原が短く答える
数日眠るメンテナンスは、原に辛いことを思い出させてしまう。それでも、メンテナンスが明けて、またいつも通りに戻る前の、この時間が愛おしくてたまらない。
原にはちゃんと食事を摂ってほしいけど、原のこんな様子を見ると、なんだか僕が、原の生活の一部になっているみたいで嬉しいとすら感じてしまう。
もう一度、原の体を抱きしめる。
珍しく、原から返ってきた。それが嬉しくて、君をより一層、離したくないと思ってしまった。