残業「あーー…くっそ…また残業かよ…」
一人、山のように積まれた始末書を片付ける男がいた。男は、ぱパソコンとにらめっこしたまま動こうとしない。よもや、朝まで居続けるつもりなのだろうか。
徐ろに机に置いてあるエナジードリンクを手に取る。しかし、その中身は空らしく、舌打ちが署内に虚しく響いた。また、机の上に空き缶を置き直し、本日何度目かも分からない自販機でのドリンク購入を行う。勿論、エナジードリンクだ。眠いのか、心労からの疲れかは定かではないが、フラフラとした足取りで自分の机につき、もう一度パソコンと向き合う。
謹慎が解けたら始末書を書き、謹慎が解けたら始末書を書き、を何度繰り返しているのだろうか。そもそも彼だけの始末書ではなく、彼の相方の始末書まで請け負っているのだ。とどのつまり2人分の仕事を1人で行っている。そりゃ残業続きで始末書を書く作業せざるを得なくなっていた。
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