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    梢の子

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    梢の子

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    勢いのまま書いた羽津天のss
    公開されてるHO情報のみしか入ってないので、我厄通ってない人も⭕
    ちなみに、羽津天のCONは6です

    残業「あーー…くっそ…また残業かよ…」
    一人、山のように積まれた始末書を片付ける男がいた。男は、ぱパソコンとにらめっこしたまま動こうとしない。よもや、朝まで居続けるつもりなのだろうか。
    徐ろに机に置いてあるエナジードリンクを手に取る。しかし、その中身は空らしく、舌打ちが署内に虚しく響いた。また、机の上に空き缶を置き直し、本日何度目かも分からない自販機でのドリンク購入を行う。勿論、エナジードリンクだ。眠いのか、心労からの疲れかは定かではないが、フラフラとした足取りで自分の机につき、もう一度パソコンと向き合う。
    謹慎が解けたら始末書を書き、謹慎が解けたら始末書を書き、を何度繰り返しているのだろうか。そもそも彼だけの始末書ではなく、彼の相方の始末書まで請け負っているのだ。とどのつまり2人分の仕事を1人で行っている。そりゃ残業続きで始末書を書く作業せざるを得なくなっていた。
    相方に書かせれば良いという声が上がるのは分かっている。彼も最初こそ、そうさせていたのだが、相方が書いた始末書はちんぷんかんぷん、奇妙奇天烈摩訶不思議な文章であったため、諦めて彼が相方の分まで書く。という今の形に落ち着いた。
    もう何度目かも分からないため息をつきながら、エナジードリンクを煽る。作業を再開させる脳は、ふと誰かの言っていた言葉を思い出していた。
    「あいつとバディだなんて可哀想だな。」
    そんな声と哀れみの目。
    今の彼はその言葉と目に随分と怒りを覚えてたことを思い出していた。何故怒りの感情を覚えたのか、そのときは分からなかった。元来、彼が短気であるが故の感情なのだと、彼自身は片付けていたが、今となってはそういう訳ではないのだと理解できた。
    彼は、自分のバディを侮辱されたのが許せなかったのだ。
    問題児だと言われようが、自身が倍の始末症を書かされようが、相方は相方だ。それに加え、彼自身も他の奴とは反りが合わずに単独で行動したり、短気な性格が災いしてバディが辞めていったりとかなりの問題児であったという自覚はある。上層部は目には目を、歯には歯を、問題児には問題児を、といった言っちゃ何だが、投げやりな思惑で組ませたのだろう。だが、思いの外それは良い判断だったらしく、彼は最初こそ嫌がったが、いつの間にか相方が起こす問題がないとむしろ違和感を覚えるレベルには毒されていた。そんな己に自嘲気味の笑みを浮かべながら、またもエナジードリンクを煽る。
    「惚れた弱みってやつか?…惚れた覚えはねえけどな。」
    そうして、パソコンとにらめっこをし、時にはエナドリを買いに行き、またパソコンと向き直り、を繰り返し続けた。

    いつまで経っただろうか、いつの間にか意識が暗転してい()るた。
    「…い。………おい、…起きろ!羽津天!」
    その声で意識が浮上する、目をゆっくりと開き、その眩しさに目を細める。その細めた目からは、夜が明けたということと、眼の前の人物が誰かという情報を受け取った。
    「…はよ…ございます…。」
    思っていた以上のガスガスの声に自身がびっくりしていると、上司は気にせず続ける。
    「お前一体何処で寝てるんだ?エナドリを持ってる状態で倒れているし…。」
    一体何処で寝ているのか、と聞かれて、はたと気づく。視界を彷徨わせてから、下を向けば床と対面した。
    「床ですね。」
    「そうか…。」
    「覚えてないんですよ、いつの間にか寝てたみたいです。」
    それだけ言って、立ち上がろうとする。それ自体は何も問題なく立ち上がれたのだが、直ぐにふらついてしまい側の机に慌てて手をつく。
    「っ…。危な…。」
    「あまり残業はしないように。倒れられたら困る。一体誰が、あいつの面倒を見るんだ。」
    それだけ言うと、上旬は自分のデスクに戻っていった。残業続きのせいで体力の衰えを感じていると、勢いよく署内のドアが開け放たれる。
    「おっはようございまーす!…あれ?どっち〜、何してんの?」
    その声は彼にとって耳馴染みのある人物の声であり、問題行動をよく起こす人物。ふ、と軽く笑いながらポツリと呟いた。
    「逆に俺以外、誰がこいつの面倒見れるんだよ。」
    いつも通りの日常は続く。いつも通りの、"厄介事に愛される"日常が。
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