Last drop of my blood3目覚めの嵐。
それは夜の帳の中で殻を破ろうと閃光の罅を走らせる。
地下の大聖堂には雷光は届かず、ただ重い沈黙が時折雷鳴で揺らめくくらいであった。日本支部上層部も流石に管轄区域の本部からの来賓にモニター越しとはいかず、主祭壇前に設置されたテーブル前で彼らを出迎える。中央通路右手に日本支部の幹部祓魔官たちが控え、左手にエクソシスム・アクシズのアジア・オセアニア環太平洋本部のエクソシストたちが控え、緊迫感で沈黙が更に重く感じる空間になっていた。
「ようこそ。遠路遥々おいでくださいました。枢機卿」
日本側から歓迎の言葉が掛けられるが、枢機卿は微動だにしない。初老とは思えない鋭い眼差しが出迎えた3人の大司教に突き刺さる。
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