わしは幸せな人生を送れた。
若い頃こそ戦争で数々の存在を失ったし無茶もした。だが、妻に出会えた。娘に恵まれ、孫にも曾孫にも会うことができた。なんと幸せな人生だろう
……そうじゃなぁ、来世の願望でもしておこうかの…
この体で沢山の命を奪ったわしが言える事では無いかもしれん。だが……来世はどんな人でも助けられる、自由な人間になりたいのう…
……そう思い、人生に幕を閉じた。ハズじゃった
『…………わし…女の子になっておる……』
これが孫が観ておったアニメで言っていた……転生、というものか。存在したのか
『名前は…?……そうか。神原 柘榴というのか』
神原 柘榴、有名な神原財閥のご令嬢。確かニュースで言っとったの、社長夫婦が事故で亡くなられたとか、遺産が社長秘書やらなんやらに狙われているとか……
『じゃが…なぜわしがこの子になっとるんじゃ』
この子の最後の記憶、最後の言葉がわしにも聞こえた。
もう嫌だ、自由になりたい。誰か助けて
『……苦しかったのう、お主は嫌な大人に囲まれてしまったんじゃな』
よくわからんが、精神崩壊寸前のこの子が助けをもとめた。わしの魂はそれに反応しこの子の体に引き寄せられ転生した。ということか
『頑張ったな、柘榴よ。よくぞ助けを求めた』
『……わしが、お主を自由にしてやる。ちと体を借りるぞ』
そこからは早かった。財閥の次期社長は心の広い方で、転生したわしの事も信じてくれた。柘榴には申し訳ないが、逃げ延びる為に髪を切り、少しばかり整形も施し、動きやすいジャージ、特徴的なオッドアイを隠す眼帯、ゴテゴテとしたヘアピンやピアスを身につけた。……少しばかり、自分の趣味を出してしまったのう
『……柘榴、これでお前は自由じゃ。誰もわしらを縛らん。』
『この体の中にまだお主の意識があるのか、それはわからん。じゃが……』
『わしがこの体を借りて、日本中を回ってやるぞ!!!』
元の柘榴とは違うし、わしはどんな体でも赤兎百舌鳥じゃ。それは変わらん
赤兎百舌鳥としての第2の人生、そして……
開放された神原柘榴の、第2の人生も共に歩んでいこう
赤兎百舌鳥 職業:ロリジジイ(???)
百舌鳥は享年98歳、柘榴は19歳。転生したのが2年前なので百舌鳥は年齢を聞かれたら100歳と答えている
本物の刀は流石に持ってたら捕まるのでそれっぽく色を塗って鍔を付けた木刀を持ち歩いている。だがしかし強いので木刀でも普通にボコボコにできる。職質は普通にされる