裁縫ある時、何かに引っかかって椿さんのマントが少し、破れてしまった時がありました
私は縫い直そうとしたのですが…椿さんは「大丈夫です」と断りました。
なぜ縫い直させてくれなかったのか、今になってわかりました
あぁ　こんな布切れになってしまうから　縫わせてくれなかったのですね

兄弟今日も兄上は忙しそうです。
最近は凄く忙しいみたいで、私と遊ぶ時間が少ないのだそうです
でも今日は「兄上、少し…本当に少しだけでいいので、構って頂けませんか？」
そう言うと兄上は私と色々な事を話してくれたり、遊んでくれたりしました。
でも私は遊び疲れて、兄上の膝の上で寝てしまいました…
起きた時に兄上は居ませんでした。机の上には、兄上が大切にしていた片方の綺麗な赤いピアスと手紙があったので読みました。
—嗚呼、行ってしまわれたのですね。兄上。

日記の内容8月13日　菊が目を覚ました。すぐさま駆け寄って話をしてみる。菊は椿のことを全て忘れているようだった。椿のことを色々話しても、思い出さないみたいだった。
8月14日　また話していると菊が「その方に会ってみたい」と言った。彼奴は今…
8月15日　菊が急に椿のことを全て思い出した。ラジオは終戦という言葉が流れている。つまり椿は、もう…
8月16日　菊に病気と治療法を伝えた。すると菊は絶望したような表情でこちらを見た。
「忘愛症候群」は愛する人の死が、治療法なのだから。

猫私に似たあの人は何をしているのでしょう
私に似た姿でも、赤い目をして、綺麗なピアスをしたあの人は
二月十日までは私達と一緒に、遊んでいたのに。
「そう言えば、猫は死ぬ前に懐いた人から姿を隠すよな」
桐のその一言で私は何かを察して膝から崩れ落ちた。
嗚呼　あの人は　信じたくも無いけれど　死んでしまったのでしょうか。

誕生日「椿さん、今日は私の誕生日であり、貴方の誕生日ですよ。」
そんなことを言いながら、お茶を二つ淹れる。
私からの言葉には何も返事が返ってこなかった。おかしいですね。椿さんが居るはずなのに。
「椿さん？」と振り返ってみる。
そこにはただ、桜の花弁が2つ、重なって落ちているだけだった。

人ある日。敗北した戦地での基地には俺と椿だけ。
椿は泣いていた。理由を聞くと「また、菊が愛していた人を死なせた」だってさ。
だから俺は「椿と俺で''大日本帝国''だろ？なら俺と菊と椿が生きていたら、どうにでもなる。だから今はそんな事、考えなくていい」
そんな事を言った。その数十年後に　椿は　死んだ