『喧嘩』汚染 『喧嘩』
書類を目の前に渡される。この問題を解決するために多くの汚染の魔法石が必要だった。長々と説明されれば誰だって欠伸はしたくはなる。
隣に座っていた最上が、つまらなさそうに書類をめくった後、ポケットから煙草を取り出し、自身の炎魔法でつける。ラフな格好をしてはいるものの、髪先は少し黒く焦げ、指先はカサつき切り傷で目立っている。
『最上ハンター、室内での喫煙は―――』
「僕達のおかげでこうして生きてるんですから、少しは大目に見てくださいよ」
『――――』
沈黙を了承と受け取った最上は、足を組み、イスに深くもたれながら、煙草を長く吸い、煙を吐き出す。
その隣に居た道門は鬱陶しそうにその煙を手で払う。
「外で吸ってくれない?僕にかかるんだけど」
「知りませんよ、そんな事」
お前がそこに居るのが悪いという顔を全面に出しながら、道門を睨む。
「狂ったフリは下手だね、代・表?」
道門はわざと最上に対して煽り口調でで話す。最上は持っていた煙草を道門に投げつけ、道門はそれに目を大きく開けると同時に煙草が爆発する。
「チッ、避けないでくださいよ」
「狂ったフリをするなら、もっとマシなフリをしなよ」
道門は武器を両手に持ちそのまま最上の方へ向け、素早い動きで喉に刃を近づけた。
「その口、塞ぎましょうか、煩いので」
最上は道門よりも早く反応し、武器を弾き飛ばし、口ごと鷲掴み、手に魔力を込める。
「皮膚が溶ければ、貴方は二度と喋れませんねぇ?」
「ンン!」
道門は思いっきり最上の腹に蹴りを入れ、手から逃れる。
「爪が甘いんじゃないの?代・表」
「―――その名前で呼ぶなッ…!」
最上は怒りを更に露にし、歯をを食いしば、手の平の炎が暴走する。
最上の膨大な魔力が炎へと変換され大きく燃え上がる。
「来なよ、偽狂人」
「黙れッ!!」
最上は大きく炎を道門に対して攻撃しようとした所で、首に衝撃が走りそのまま気絶する。
「何、いい所だったんだけど?」
「お前らが喧嘩してビルが燃えたのは13回だ、これ以上燃やすな」
「チッ……だったら水篠、アンタが相手してよ」
「遠慮する」
気絶した最上を持ち上げ、会議室から旬は出ていく。呻き声を上げながら何回か「殺す」と聞こえてくる。
会議室に残った道門は窓を見上げる。地下に作られたこの場所は空は無い。
「―――――は」
道門はニヤリと笑い、次第に高笑いへと変わった。
end