『依存』汚染 『依存』
地上から地下へ戻れば、緊張していた体は徐々に落ち着いて行く。
ハンター達はあの事件以来、気性は荒く時には殺し合いも始まる。
そんな殺伐とした場所から抜け出し、一番の落ち着く彼の元へ帰る。
「……ぁ、大虎さん、おかえりなさい――――うわッ」
家に帰れば車椅子に乗る美濃部がジョウロを持って、家の中にある植物に水をやっている最中だった。そんな事などお構いなしに、白川は一番の拠り所である美濃部に抱き着いた。
「―――剛」
「…どうしたんですか、大虎さん」
美濃部は持っていたジョウロを地面に置き、抱き着いて顔を上げない白川の髪を撫でる。
架南島レイドで運よく生き残る事が出来た美濃部は、命がある代わりに両足を失った。S級ハンターでヒーラーである美濃部は今での貴重な存在で、時にはその足でも地上へ出なければならない事もある。
「俺は―――」
弱音を吐こうとした白川だが、言う前に言葉を止めた。
「―――疲れましたか、大虎さん」
「――――――」
「やめても、いいんですよ。俺とここで一日中過ごすだけなんですから」
その答えを何度も聞いてきた白川は歯を食いしばり、目を瞑る。
ただ普通の暮らしがしたいと、そう願う心と拠り所である美濃部が居るから、白川は立って歩けている。
「……もう少しだけ、頑張る」
「……無理はしないでくださいね、最近隈が多くなって――――――」
そこで美濃部の声は途切れた。
白川は少しだけ口を開けながら美濃部の唇に当てる。それを驚きつつも、美濃部はそれを受け入れ、舌を絡ませ合う。
膝から無い足を、白川は優しく触りながら、愛撫を続け、美濃部を自分のペースに取り込んでいく。
「好きに、して、ください……」
――――俺がアイツを守ってやらないと。
end