旬「俺はどっちでもいいな」諸菱「み、水篠さんの食べてみたいです!」「ですから貴方が常識外れなんですよ」
「なんだと!?」
「まあまあ落ち着けって……美濃部も止めろ…お前が蒔いた種だろ…」
「俺はただ……」
大声でS級ハンター同士が言い合うその光景に、皆体を震わせてみていた。殺し合いが始まればこの教会は消し飛ぶ。職員も無事ではいられないだろう。
「いっ、一体なんの話を……」
「だ、誰か聞いてきなさいよ!」
「行けるわけないだろ!?」
周りがざわつき始めた所で、ウィンドウの扉が開く。この状況を理解していない我進ギルド副マスターの諸菱賢太だ。
何か書類を見ながら歩いているので、S級同士の言い合いが見えていない。
「も、諸菱ハンター!」
「え?はい?」
「諸菱ハンターならいけますよね!お願いします!」
「え、何が!?!?」
背中を押された先は、今にでも手が出そうな最上と白川。それを止める黒須と、全く止めずに笑う美濃部だ。
「えぇぇ、僕関係ないじゃないですか!!」
「み、水篠ハンターの評価だと思って!」
「どこがですか!!そんな事しなくても水篠さんの評価は上がってます!!僕の中では!」
「それは意味ないんじゃ……」
協会と諸菱が言い合っている中で、最上が諸菱の存在に気づく。
「諸菱ハンター」
「は、はい」
「貴方はどっちですか」
「何でしょう…」
「目玉焼きは両面焼きか、かた焼きか」
シンっと静まり返り、スタッフも皆動きを止める。
「え……しょうもな…」
「しょうも無いとはなんですか!!!」
「えぇぇぇぇ!?すみません!?」
最上の圧に押されそうになる諸菱は何処か逃げ場所が無いかと探すが、後ろは白川に取られ更に質問される。
「両面焼きに、一択だよな?諸菱ハンター」
「いいえ片焼きです。あの黄身がいいじゃないですか」
「生っぽいだろ…」
なんとも収集がつかない喧嘩に黒須も頭を抱え「俺はもう行くわ…俺は両面な」と言いながらその場を去って行き、美濃部も「俺も……あ、片焼きです」と言い去って行く。
「さぁ」
「諸菱ハンター」
「「どっちなんですか!/なんだ!」」
「ひぇぇぇええ…水篠さぁん……たすけてぇ……」
その後影が諸菱の危機を察知し、駆けつけた旬によって話は治まった。