諸菱「雪合戦って言葉分かってますか?」今年は例年より寒気が強く、雪が降らない地域でも多くの雪が積もった。
「お兄ちゃん、雪合戦しよ!」
「………俺はこたつに」
「いいから早く」
「はい」
温かいお茶を持ってこたつの中へもぐろうとしたが、葵の突発的な誘いに断れず、渋々と立ち上がりダウンを着こんで外に出る。
積もった雪をかき分けながら歩いて行く葵の後ろをついて行くと、広々とした場所へと出ると同時に、ニヤリと葵は歯を剥き出しにし、顔に冷たい雪玉が当たった。
「ぶっ………葵…」
「へへん、お兄ちゃんが油断してるからわる……ぶっ!!」
葵の雪玉よりも大きめに作ったものを顔に投げ、鼻を真っ赤にして雪を顔から掃う。
「ちょっと、喋ってる最中でしょ!」
「同じ事をしただけだ」
「それなら僕も参戦します!」
「は?……ブッ」
突然茂みから現れた諸菱によって顔に雪玉を投げられ、口の中に雪が入りじゃりっと噛んでしまう。
「………諸菱君」
「いくら水篠さんでも容赦しませんか……へぶぁっ!?」
ほんの少し痛いなと感じた諸菱は体を起こすと赤いプルームを靡かせた影が諸菱に対して雪玉を投げていた。
「ちょ、それは反則です水篠さん!!」
「1対2の方が反則だろ」
ぽんぽんと雪玉を投げ合うが、力の差か、旬の方が有利になっている。
「もう、お兄ちゃん手加減してよ~!」
「ははは」
「こうなったら応援要請するんだから!お願いします!」
再び何処からか沸いてきたのか、死角から突然出てきた人に旬は驚きを隠せなかった。
「僕、炎を出すのなら得意なんですけどね」
「俺は治療の方が得意なんですけど…あ、雪玉にバフ掛けます?」
「いい案ですね、では雪玉を炎で包みましょう」
「それって溶けるんじゃ…」
続々と出てきたS級ハンター達に、旬もそれなりの影達を出して雪玉を持たせた。
「そうそう、これこれ!私がやりたかった雪合戦!」
喜ぶ葵に諸菱は段々と冷や汗をかきながら…
「ほ、本当にこれでいいんですか…僕最悪な事になる予感しか…」
「始めー!」
「葵さーんっ!?!?!」
突然投げ入れられる炎に包まれた雪玉、いやもはや溶けて炎である。
「最上ハンターそれ攻撃です雪玉じゃないです!」
「バフ準備完了!」
と言いながら雪玉を投げると猛スピードでイグリットの顔面へと向かい激突する。
「じゃあ俺も混ぜて貰おうかな」
モコモコのダウンで膨らんでいる黒須が弓をもって現れ、雪玉を矢の先に付け、放った。
「それ雪合戦じゃないっですってー!!」
段々とヒートアップし、雪玉から何故か違うものに変わっていき、この後犬飼課長に雪の上で正座させられるまであと1分