重くのしかかる不快感とともに、晴明は目を開いた。体に張り付く布が不快で、分厚い布団が重たくて。顔をしかめながら起き上がった。カーテンを引いた薄暗い部屋を、一人見るともなく見渡す。寒い。肌感覚で、体温が比較的正常に戻ったことを理解する。無意識のうちにため息をついていた。
風邪をひくなど、いつぶりだろうか。不摂生をしたつもりもないが───短く、また息を吐いた。弱っている、完全に。
体調を崩すと人恋しくなる。一般論として聞いたことはあるが、己には縁のない迷信だと思っていた。苦痛の最中、人とのつながりに逃避しようと本能が動くのだろう。全く、縁があろうはずもなかった。もとより一人だというのに、どこに逃げ場があるというのか。なぜ孤独を感じるというのか。現実は、事実は何も変わらない。もとより一人きりならば、人恋しさなど───孤独など、無縁だと。
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