オトナ「ねえ、それ何飲んでるの?」
ヒロが顔よりもでかいペロペロキャンディを舐めながら尋ねる。こいつの視線の先を辿り、それを煽る。
「これか?これは赤ワインだ。ここのワイン上手いんだよな〜」
グラスを揺すり、中でぐらりと揺れ動く赤いワインを見て目をキラキラさせるヒロ。
「ワイン?飲んでみたいっ!」
「ばか、お前まだ未成年だろ?自分が何歳か言ってみろ」
「……10歳」
むすっとした表情でそう答えるヒロ。先月ちょうど小学4年生になったばかりだ。
「俺は成人してっからいーけどお前はあと10年経たねぇと飲めねぇよ」
「えー…1口くらい、いいじゃん」
拗ねたような口調でキャンディを舐めるヒロ。その小さな頭を軽く撫でてやる。
「だーめ。これは大人になるまで待てよ。ほら、それでも舐めてろ」
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