うるさかったから実名使って書いた。放課後、俺は忘れ物を取りに教室へ向かっていた。早足で教室まで歩いていると、教室の方から声が聞こえた。その声で、言葉で、何を致しているのか。まあ、なんとなく察してしまった。
「忘れ物…課題なんだが、明日にするか」
踵を返そうとしたが、どんなヤツが空き教室でやってんのか気になるという好奇心に負け、扉に手をかけた。
だいたい、空き教室でやるなんて…変態すぎだろ。少し高鳴る心臓。俺は興奮で震える手で扉を僅かに開け、中を覗いて見た。
「……たいが、?」
「!」
中には、男に組み敷かれた「男」がいた。俺は、そいつらを知っている。
組み敷いてる男は同じクラスのそうたで、組み敷かれてるのはその友達のたいがだ。
そして、たいがは俺がずっと思い続けてる相手でもあった。
「ゆう?え、なんでっ」
「あー…今取り込み中だからさ、悪ぃけど見逃してくんね?明日なんか奢っからさ」
余裕そうな表情で、たいがの乱れた服の間に手を入れても何やらもぞもぞとしているそうた。たいがはと言うと、快楽に溺れそうになるのを必死に耐えているようだった。俺がいるから声を出さないように手で口元を覆っているが、合間合間に脳に響くくらいの甘い声が漏れている。
くそ、くそ、くそ、くそ、
「……明日、購買でからあげ奢れよ」
「からあげね、りょーかい」
俺は拳を固く握りしめたまま、教室から出た。そしてそのまま昇降口まで走った。
あの時の。そうたがあの場には不釣り合いな笑み、たいがが見られていて興奮しているようなとろんとした表情。
「…くそ、くそっ!」
俺の目から溢れる涙と共に、忘れ去りたかった。