途中 そろそろ終わりにするべきなのかもしれないな。
会社のオフィスですっかり冷めてしまったコーヒーを一口飲んだとき、僕はふとそんなことを思った。終業時間をとうに過ぎたオフィスには僕以外だれも残っておらず、物思いに耽るには絶好のタイミングだった。ブラインドの隙間から、細くシュテルンビルトの夜景が覗いている。立ち並ぶビルの群れ、特大のビジョンの広告、遠くのハイウェイ。押し寄せる夜に抗うみたいに輝く街。僕が今いるこのオフィスも、そういったものたちの中のほんの一部だ。僕はオフィスの暖房の温度を上げた。
冬がきてからというもの、夕方の時間がうんと短くなった。出動することなく一日を終えて定刻通りに会社を出たとき、外がもうすっかり夜の様相をしていると、それだけで一日を浪費した気分になってしまってなんだかやるせない。
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