埋葬 風の音だけがする廃墟に、土を穿つ音がこだまする。
焼け落ちた住宅の瓦礫の横に落ちていた鍬の刃には、青黒い血がこびりついていた。魔物の襲撃に抵抗した痕だろう。砂で清めてからそれを見晴らしの良い、高台の土に打ち付ける。何度も。何度も。
虚空を睨む動かない瞳。その瞼を下ろしてやると、微かに開いた口のせいかどこか幼いような印象さえ受けた。騎士団長だったと言うが、まだ若い。自分とそれほど歳は変わらないのかもしれない。
優れた戦士だったというのは持ち上げた体躯からも分かった。重く強張って動かない彼の屍を、棺もない簡素な土の穴に納める。
最後に手を組ませてやり、どうすべきか迷ってから、目を瞑り黙礼をした。本当は祈るべきなのだろう。
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