「夜狩」ある村はずれの藤の老木が妖と化した。
その知らせが仙門に届き、姑蘇藍氏と雲夢江氏から門弟を派遣することとなった。
宗主が出向くほどのことではないのかもしれないが、江澄は夜狩が嫌いではない、というより体を動かし戦うことが自分に向いていると思っている。
一方、藍曦臣は夜狩が好きとは言えないが、自分が人の役に立つのならいくらでも力を尽くしたいと考えていたし、雲夢からはきっと宗主も来るだろうから、必然的に足を運ぶことになった。
もう日が暮れたというのに、あたりは薄紫の光に包まれていた。
江澄や藍曦臣が門弟とともに駆けつけた時、あちこち枝の折れた大きな藤の古木が、残された枝と花を振り回すように暴れていた。
その花や枝が紫色の光を発している。
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