愛の形はひとつじゃないのさ「イオリ!お泊まり会をしたい!」
「なんだ藪から棒に」
それは何てことの無い放課後、受験も少し遠い高校一年。試験も先、季節も合間ってどこかのんびした空気が流れる冬の日だった。
厚めのインナーにネックウォーマーをつけ、指先までカーディガンの袖を伸ばした伊織とは対照的に、セイバーはシャツに薄手のカーディガンのみの装い。教室には暖房が効いているとは言え、元気な子にも程があると伊織はボソリと口に出す。
「そうと決まればまずは買い出しだー!おかしおかし!高校生のお菓子代は三千円までだぞ!」
「決まってないし一緒に住んでいるし高校生でもお菓子代は千円以内だ」
「ぶー!イオリのケチ!」
「お前が昨日モスで阿呆な量を食べたお陰で小遣いがすっからかんなんだ、計画性というのを持て。月初だというのに」
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