師弟が二人で写真を撮る話マッカチンが走り始めたので僕もそれを追った。砂浜に足を取られていつも通りには走れない。背後には僕たちを追いかけてくるヴィクトルの気配。
マッカチンは走って行って、追いかける僕との距離はどんどん離れていく。
代わりに背後の気配はどんどん近づいてきて振り返ると数メートル後ろにヴィクトルが右手を伸ばして追いかけてくる。
夏にはまだ少し早い入道雲と青い空。
追いついたヴィクトルが僕の手首をつかんだ拍子にバランスを崩して砂に足を取られ転びそうになった。
ヴィクトルはそんな僕を力強く引き寄せた。
勢いよく二人で砂浜に倒れこんだけどヴィクトルがわざと下敷きになったから僕は何ともなかった。
息を弾ませながら…少しずつ呼吸を整え、僕たちは寝ころんだまま寄せては返す波をぼんやりと眺めていた。
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