MonoCloTone
MAIKINGセノナリ習作(未完成)タイトルに前と今ってあるけど前しか書けてない
前と今的な 心地いい風の音を耳が拾った。
葉が茂る雨林の中で、音は最大の情報源だ。風が木々の隙間を通り抜ける音、滝から水が流れ出る音、葉が影をゆらゆらと落とす音、目を閉じていても情景が想像できるほど、それらは鮮明に耳に入ってくる。
自然の奏でるその中で、一つだけ人が発したそれに、セノはゆっくりと目を開けた。
「……ノ、セノ! 聞こえてる?」
寄りかかった木の枝から身体を起こし、セノは声の主へと下の方へ目をやる。長い耳を揺らしながら腰に手を当てて、彼はセノの方を見上げていた。
「寝るならちゃんとしたところで寝なよ。身体が休まらないだろ」
「……ああ」
「何その生返事、まだ寝ぼけてるのかい?」
降りておいでと手招きする彼に従って、セノは渋々と寝床にしていた木から降り立った。
542葉が茂る雨林の中で、音は最大の情報源だ。風が木々の隙間を通り抜ける音、滝から水が流れ出る音、葉が影をゆらゆらと落とす音、目を閉じていても情景が想像できるほど、それらは鮮明に耳に入ってくる。
自然の奏でるその中で、一つだけ人が発したそれに、セノはゆっくりと目を開けた。
「……ノ、セノ! 聞こえてる?」
寄りかかった木の枝から身体を起こし、セノは声の主へと下の方へ目をやる。長い耳を揺らしながら腰に手を当てて、彼はセノの方を見上げていた。
「寝るならちゃんとしたところで寝なよ。身体が休まらないだろ」
「……ああ」
「何その生返事、まだ寝ぼけてるのかい?」
降りておいでと手招きする彼に従って、セノは渋々と寝床にしていた木から降り立った。