かえる
DONE完璧無量大数軍との闘いに赴くブラック。それを知らされずに遠ざけられるペンタ。
すれ違いが生む断絶。言葉は届かない。
「ヘイ、ブラック」と呼びかけるまでに長い長い葛藤と逡巡があったとしたら…。
引用した文章は坂口安吾著「宿命のCANDIDE(カンディード)」より、詩人菱山修三の言葉。
懸崖 タッグを解消しようとしたのは、彼の身辺整理だった事を後になって知った。御楯となりて出で立ち、帰らぬ任務に就いた彼らは。後には何も残さぬつもりだったのだ。ただ、私だけがひとり。
あの闘いに赴く少し前から、彼へと続く四次元の通路は閉ざされていた。私はそれを彼からの峻拒と受け取った。「お前はここまでだ」とどうしても立ち入れてはくれなかった。幾度も呼びかけてみたが彼は応えてくれない。はるか四次元空間の彼方でそっぽを向いたまま、同じ姿の彼が佇んでいるのが見えた。あれは、影なのだ。私に影だけを置いて行った、その影が陽炎の如く揺らめいて、彼の命もまた消えかけているのだと解った。あれは、彼の、最期の焔…。
深い隔絶が、此岸と彼岸のあいだのように横たわっていた。
649あの闘いに赴く少し前から、彼へと続く四次元の通路は閉ざされていた。私はそれを彼からの峻拒と受け取った。「お前はここまでだ」とどうしても立ち入れてはくれなかった。幾度も呼びかけてみたが彼は応えてくれない。はるか四次元空間の彼方でそっぽを向いたまま、同じ姿の彼が佇んでいるのが見えた。あれは、影なのだ。私に影だけを置いて行った、その影が陽炎の如く揺らめいて、彼の命もまた消えかけているのだと解った。あれは、彼の、最期の焔…。
深い隔絶が、此岸と彼岸のあいだのように横たわっていた。